『僕だけがいない街』(全8巻)を読んでの評価・感想

僕だけがいない町とは?

  • タイムリープ能力を持つ主人公が、過去に行って自分と周囲の人々を襲う悲劇を回避するミステリー・サスペンス漫画である。単行本は本編は全8巻。『ヤングエース』(KADOKAWA)にて、2012年7月号から2016年4月号まで連載された。『このマンガがすごい!2014』オトコ編第15位。『マンガ大賞2014』第2位。
     
  • 原作とは別視点で描かれたノベライズ小説『僕だけがいない街 Another Record』(著者:一肇)が電子書籍雑誌『文芸カドカワ』(KADOKAWA)にて2015年11月号から2016年2月号まで連載されたほか、2016年1月から同年3月までテレビアニメが放送された。また、同年3月に実写映画が公開された。実写映画化は単行本第2巻の発売前に決定している。
     
  • 本編の連載終了後、本連載と同じく『ヤングエース』にて2016年7月号から12月号までメインキャラクターに焦点をあてた短編集である外伝『僕だけがいない街 Re』が連載された。連載分は「Re」のタイトルは使用せずそのままコミックス第9巻として発売された。
     
  • 2017年12月15日、Netflixでに世界190ヶ国で配信される。
     

表紙画像・出典:https://www.amazon.co.jp/僕だけがいない街-1-カドカワコミックス・エース-三部-けい/dp/4041205573

あらすじ

 売れない漫画家・藤沼悟は、「再上映(リバイバル)」と呼んでいる特殊能力を持っていた。その能力は、直後に起こる「悪いこと(事件・事故等)」の原因が取り除かれるまで、その直前の場面に何度もタイムリープしてしまうというものだった。自分の意思とは関係なく発動する上に、能力が発動した結果「マイナスだったことがプラマイ0になる(悪いことが発生しなくなるだけ)、もしくは自分にとってマイナスになる(未然に防ごうとした結果、自分が労力を使う)」というこの能力に不満を持ちながら、悟はピザ屋のアルバイトをこなす日々を過ごしていた。
 後日、母・佐知子との買い物中にリバイバルが発生、このとき子連れの男の挙動に注目した佐知子は誘拐を未然に防いだことを確信し、同時に1988年に北海道で起きた誘拐殺人事件の真犯人と同一犯であることにも気付いた。しかし、犯人も気づかれたことを察知し、正体を伝えられる前に佐知子を殺害、死体の発見者である悟を犯人に仕立て上げる。悟は母の遺体を発見後、リバイバルで殺害を阻止できないかと試みるが失敗。さらに強く念じたところ、それまで経験したことがない長期間のタイムリープが発生し、1988年にいることに気づく2006年で母親を殺害した犯人と1988年の連続誘拐殺人事件が同一人物であると確信した悟は、2つの時代を往復しながら真犯人に立ち向かっていく


出典:http://taokasu.blog114.fc2.com/blog-entry-720.html?sp
↑長期間のリバイバルで20代だった悟は小学校時代まで遡り、小学生の姿に・・・。

気になったら試し読み!

 
僕だけがいない街 (1)
三部けい KADOKAWA / 角川書店
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毎日を懊悩して暮らす青年漫画家の藤沼。ただ彼には、彼にしか起きない特別な症状を持ち合わせていた。それは…時間が巻き戻るということ!この現象、藤沼にもたらすものは輝く未来?それとも…。
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主な登場人物

2006年 主人公29歳時点

藤沼 悟(ふじぬま さとる)

 本作の主人公、2006年時の姿。2006年5月時点では29歳の漫画家。画力やストーリー構成力はあるものの、自分の心に踏み込めないという欠点の為にデビュー後はなかなか成功せず、ピザ屋「Oasi Pizza」のアルバイトで生計を立てていた。人間関係は希薄。漫画は主にゲームのコミカライズを手がけていた。心に思ったことを無意識のうちに声に出す癖がある。
 「再上映(リバイバル)」と言うタイムリープ能力の持ち主で、過去を変えることができるが、自分の意志とは無関係に発動する為にその能力を疎ましく思っていた。しかし母親の死をきっかけに、2006年と1988年を往復する再上映が発動。そのチャンスを活かし、過去と現在の悲劇を回避するために奔走する。

片桐 愛梨(かたぎり あいり)

 悟のバイトの後輩である女子高生。快活で人見知りしないオープンな性格。良くも悪くも素直に物を言うため、当初は悟を「距離感が掴めない」と困惑させていた。自分の「正義」に忠実で一本気だが、許せない相手には即殴りかかるような一面もある。
 元々悟とは然程親しくはなかったが、悟が子供を助けて負傷した件や廃ビルで悟に助けられたことなどから、悟のことを「尊敬できるお友達」と認識するようになった。
 嘗て一家が離散した苦い経験から、人を信じることを信条としており、真犯人の奸計により母親殺害の容疑者となってしまった悟を信じて、逃亡を陰で支えた

藤沼 佐知子(ふじぬま さちこ)

 悟の母。2006年5月時点で52歳。夫とは悟が赤子の頃に別れ、女手一つで悟を育てた。元テレビ石狩の報道部アナウンサーで洞察力が高く、心を読んでいるかのような発言をするため、悟は頭があがらない。愛梨が姉と見間違うほど外見が若いままであり、1988年と2006年とでもほとんど変化がない。北海道の実家で暮らしていたが、事故に遭った息子の様子見と称して悟のアパートに転がり込んだ。
 1988年に起きた連続誘拐殺人事件では、報道が子供たちの目に触れてトラウマとならないように奔走した。オリジナルのタイムラインにおいて、解決したとされていた事件の真犯人の正体に気付き、真相を解き明かす為に行動を始めた矢先、先手を打った真犯人に殺害される。

 

1988年 主人公10~11歳時点

藤沼 悟(ふじぬま さとる)

 本作の主人公、1988年時の姿。小学5年生。
 子供の頃は人付き合いは苦手で、「ユウキさん」の助言を受けるまで友達もいなかった。「戦え!ワンダーガイ」と言うヒーロー漫画のファンであり、自分もワンダーガイのようなヒーローを描きたいと考えた事が漫画家を志した理由である。
 リバイバルでやってきたこの時代では数多くの子供が殺される。その中にはクラスメイトも含まれており、最初の被害者である雛月加代を救うことで真犯人を捕まえられると思い行動する

雛月 加代(ひなづき かよ)

 小学校時代の悟のクラスメイト。1977年3月2日生まれ(悟と同じ日)。オセロやトランプが強い。家は母子家庭で、母親とその愛人から虐待を受けている。その家庭環境故に卑屈な性分となってしまっており滅多に言葉を発さず、クラスでは貧乏故(給食費が出せない等)に偏見を持たれている。口癖は「バカなの?」。
 オリジナルのタイムラインでは、1988年に連続誘拐殺人事件の被害者となって、3月1日に死亡。二度目のタイムラインでは積極的に自分と関わろうとする悟に徐々に心を開き、やがて悟達のグループにも加わった。それによって3月1日を乗り切り、11歳の誕生日を迎えることができたものの、結局3月2日夜から3日未明の間に死亡した

評価・感想

 「ある一つの事件発生と同時に都合よくタイムリープが連続で起こり、その事件を解決しなくては時間が流れていかない」再上映(リバイバル)という不思議な力を持った主人公が母親の死をきっかけに小学校時代までタイムスリップしてしまう。母親を殺した犯人を追うのと同時にリバイバルが起こったことから小学校時代に起きた未解決事件の犯人が母親を殺した犯人と同一人物なのでは?と考えた主人公は小学生の身でありながら当時の事件の発生を回避しようとしつつ犯人を見つけようと奮闘するSFミステリー漫画。
 この漫画を読んだことがない人は、まず主人公がタイムリープの能力を持っているという部分に違和感を感じると思うが(自分もそうだった)、実際読み進めていくとそれほど違和感はない。むしろ、この物語の根幹であるこの能力を主人公が認知しておらず、物語のスタートからタイムリープの能力が身についたとなると話は能力を確かめたり、主人公のリアクションなどで冗長的になったりしてくどくなることを考えれば良い構成であると言える。

出典:http://honz.jp/articles/-/40622

 まず、この漫画の感想だが、・・・びっくりするくらい面白い
 当時は見て見ぬ振りで終わらせてしまっていた加代の死を回避するため、クラスメイトのリーダー的存在の男子と協力したり、担任の教師と情報を交換したりと当時の主人公ではありえないくらいの行動力を発揮し、主人公が本気で未来を変えようと行動している姿が胸を打つ

出典:https://moriawase.net/osusume-manga

 さらに改めて2度目の小学5年生となり冷静に物事に対応したり(給食費が盗まれた等)、現実では謎として葬られてしまった部分を明らかにし、少しずつ犯人像に迫っていく描写では大人としての思考が垣間見えタイムリープの利点である部分が発揮されている部分も良い

出典:http://buzz-manga.blog.jp/Bokudake-Inai-Machi-vol1-8-All-Volumes.html

 少しネタバレになるが、タイムリープの力を持ち、加代が実際に死んだ日をうまく回避してもその次の日に加代は殺されてしまう。そして次々と殺人は起こり、元の時間軸をたどり始めた時は、主人公はもちろん読んでいるこちら側もなかなかの絶望を与えられる。この地点まで読み進めることができれば、主人公はどうすればよかったのか。何が原因だったのか。まだタイムリープのチャンスはあるよね?と、気づくと物語に引き込まれ、もう完結まで目が離せなくなるだろう!
 それとラストは映画版とは違い、誰もが納得できるエンディングを迎える。映画を見たから漫画はいいやと思わず、巻数も8巻と多くないので是非とも漫画を手に取ってほしい!

 漫画と映画版では僕だけがいない街の意味が違っている点にも注目。
出典:http://wwws.warnerbros.co.jp/bokumachi/

 

僕だけがいない街のここが面白い!

 終盤、犯人との直接対決となるのだが、その時の犯人と主人公とのタネの明かし合いが他の漫画には絶対に真似できないかなりいい場面なのだ。
 「君(悟)は僕の想像の先をいっていた。聞かせてくれ、その目に宿る輝きの正体はなんだ?」という犯人の問いに対し、悟は包み隠さず「僕の小学5年生は3度あった」とタイムリープの事実をはっきり言う。その答えに犯人は驚きながらも「信じるよ。世界でただ一人僕だけが信じられる話だ」と一言。

出典:僕だけがいない街8巻より

 完全に悪役でかつ憎むべき犯人と正義を貫く主人公だが歴戦を乗り越え、お互いを称えあったこの場面は主人公の魅力もさることながら悪役に徹し続けた犯人もまた魅力的なキャラであると再確認できるいい場面だった

評価点:96点
しょーり

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