『傘寿まり子』の評価・感想 自分の家なのに家族にぞんざいに扱われた80歳が家出!?

傘寿まり子とは?

  • 『傘寿まり子』(さんじゅまりこ)は、おざわゆきによる日本の漫画作品。『BE・LOVE』(講談社)に2016年12号より連載中。
     
  • おざわゆきは、本作の執筆テーマとして、最近の高齢者はおざわが読んだ高齢者のエッセイなどのように煩悩が離れていった仙人のような達観した生き方ではなく、自身の母も含めて歳をとっても人間的には以前と変わらない、「年をとっても仙人にはなれない」というのを本作の1つとインタビューで答えている。
     

 
表紙画像・出典:http://www.ebookjapan.jp/ebj/384688/volume1/

あらすじ

 ベテラン作家であり80歳になってもまだ多忙な毎日を送る幸田まり子は息子夫婦と孫夫婦、ひ孫と4世代が住む家で暮らしていた。
 ある日、自分抜きで家の改築を話し合う息子夫婦、孫夫婦の会話をまり子は聞いてしまう。好き勝手に話を進め、自分の居場所を息子夫婦と孫夫婦で押し付け合う姿を見たまり子は「ここは自分の住処じゃなかったの?」と家族と自分とのズレを感じ始める
 そして、友人・じゅんこの葬式に出向いたまり子はじゅんこが家族に知られないままに孤独死となってしまったことを知る。自分と同じ四世代家族であるにもかかわらず倒れたことを誰にも気づかれす死んでいったじゅんこのことを聞き、じゅんこに自分の姿を重ねずにはいられなかった。それがきっかけとなり、長生きがいつか家族の邪魔になることを痛感したまり子は長年住んでいた家を出ることを決意し、家族に手紙を残して家を出た

 しかし、高齢者が一人で生きていくのには無理があり、家を借りられないし、ホテルもお金が高いしで、一時的にネットカフェ難民となり・・・。

気になったら試し読み!

 
傘寿まり子 (1)
おざわゆき 講談社
500円 (税別)
ベテラン作家の幸田まり子は自分の家で息子夫婦、孫夫婦との間で住居問題が勃発。老人の自分には居場所がないことを感じ一人家出を決意。街中のネットカフェで暮らし始めるが……?
購入する

 

主な登場人物

幸田まり子(こうだ まりこ)

 本作の主人公。80歳のベテラン小説家で息子夫婦と孫夫婦とひ孫と同居している。
 夫とは死別している。仕事・経済面・家族にも恵まれているが、息子夫婦や孫夫婦の住居問題に巻き込まれたことを機に家を出て「独立」することを決意する
 「独立」決意後、アパートを借りようとするが高齢者ゆえの入居差別に家を借りる事が出来ず、ホテルもお金がかかる事から断念し行き場に困るまり子だったが、編集者の斉藤との会話の中でネットカフェの存在を知り、ネットカフェで生活を始める。小説家としてずっと現役であり、主婦業には専念していないため、そういった観点からは少々浮世離れしている点もある。

この漫画の特徴

高齢者は家族の邪魔もの!?

 傘寿まり子(80歳)は息子夫婦、孫夫婦の家の建て替えの話に参加すらさせてもらえず、まり子を押し付けあっていた。その後、友の死が孤独であったことを知ったまり子はなんと家を出ることを決意。家で孤独にされることを嫌がったのではなく、あくまで家族に自分の存在でいがみ合わないでほしい、邪魔になりたくない。そんな思いからだった。


出典:傘寿まり子 1巻より

 

家を出たまり子に待ち受けていたものとは・・・

 なんの準備もなく家を飛び出したまり子に世間は冷たかった。すでに高齢ということもあり、簡単には家が借りられずホテルに仕方なく泊まったり、果てはネットカフェに滞在する。しかし、現状に肩を落とすことなく作家としての顔を持つまり子は、ネットカフェの利でたくさんの本からネタを探し執筆に取り組んだり、また寂しそうなネコを拾ってきては部屋で飼ったりなどそれなりに楽しみを見つけていた。


出典:傘寿まり子 1巻より


 

 さらに、かつて憧れていた八百坂親承(じゅんこの元夫)と再び恋に落ち同棲し始めたりと、なかなかリアルが充実した展開が繰り広げられていく・・・。
 

評価・感想

 家族に煙たがられ家を飛び出したことで、今まで知らなかったことやお店を知り、さらにかつて憧れていた男性に一緒に暮らしてほしいとお願いされたりと80歳にして波乱万丈な人生を送る高齢者の話。さらに、それだけに止まらず新たに恋を再燃させたり交通事故未遂を起こして警察に厄介になったりと良くも悪くも今まで主人公が知らなかった世界が開けていく。
 序盤は家出するという主人公の突発的な行動と社会風刺的な面もより自分の身の回りにいる高齢者と照らし合わせて主人公・まり子の姿を追うことができ、面白く読めた。
 


出典:傘寿まり子 2巻より


 

 若者が主人公のヒューマンドラマにはない展開も多く、また考え方も”これから〜”だけでなく”これまで〜”の過去に遡って考えを膨らませたりと若者が主人公のヒューマンドラマでは出せない深みがあるのがGOOD! しかしながら、展開だけで引き込まれて主人公の考えや心情を惰性で読んでいた部分もあった。やはり主人公の年齢と読者の年齢があまりにもかけ離れすぎていると感情移入が少し難しく、なかなか人を選ぶ漫画となっている。
 
 

評価点:70点
しょーり

しょーり管理者 兼 ライター

投稿者プロフィール

ライターのしょーりです。

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

  1. たくのみとは? [su_list] 『たくのみ。』は、火野遥人による日本の漫画作品。小学館の…
  2. 宇宙を駆けるよだかとは? [su_list] 2014から2015年に「別冊マーガレット」(…
  3. 神のみぞ知るセカイとは? [su_list] 『神のみぞ知るセカイ』(かみのみぞしるセカイ、…
  4. 今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ねとは? [su_list] 2015年4月発売「マガジン…
  5. ドメスティックな彼女とは? [su_list] 現代日本における高校生の恋愛を題材としており…
  6. よんでますよ、アザゼルさん。 [su_list] 『よんでますよ、アザゼルさん。』は、久保保…
  7. ヲタクに恋は難しいとは? [su_list] 『ヲタクに恋は難しい』は、ふじたによる日本の漫…
  8. 悪の教典とは?  『悪の教典』(あくのきょうてん、英表記:Lesson of t…
  9. 進撃の巨人とは? ・『進撃の巨人』は、諫山創による日本の漫画作品。小説・テレビアニメ・映画など…
  10. テラフォーマーズとは? ・『テラフォーマーズ』(TERRA FORMARS)は、作:貴家悠、画…

スポンサーリンク




ピックアップ記事

  1. 聲の形(こえのかたち)とは? ・『聲の形』は、大今良時による日本の漫画。最初の作品が45Pで『…
  2. BLEACH―ブリーチ―とは? ・『BLEACH』(ブリーチ)は、久保帯人による日本の漫画作品…
  3. 星野、目をつぶって。とは? [su_list] 『星野、目をつぶって。』は、永椎晃平による日…
  4. アカメが斬る!とは? [su_list] 『月刊ガンガンJOKER』(スクウェア・エニックス…
  5. この音とまれ!とは? [su_list] 『この音とまれ!』(このおととまれ)は、アミューに…
  6. 氷菓とは? [su_list] ライトノベルの新人賞である角川学園小説大賞のヤングミステリー…
  7. 逃げるは恥だが役に立つとは? [su_list] 『逃げるは恥だが役に立つ』は、海野つなみに…
  8. MAJOR 2ndとは? [su_list] 『MAJOR 2nd』(メジャーセカンド)は、…
  9. 監獄学園(プリズンスクール)とは? [su_list] 『監獄学園』(プリズンスクール)は、…
  10. ぼくたちは勉強ができないとは? [su_list] 『ぼくたちは勉強ができない』は、筒井大志…

次に見るべき記事

  1. 2017-9-17

    5分でわかる『君のいる町』

    『君のいる町』とは? ・『君のいる町』は、瀬尾公治による日本の漫画作品。『週刊少年マガジン』(…
ページ上部へ戻る