『校舎のうらには天使が埋められている』の評価・感想 衝撃のエレメンタリー・サスペンス!

校舎のうらには天使が埋められているとは?

  • 『校舎のうらには天使が埋められている』は小山鹿梨子による日本の少女漫画作品。『別冊フレンド』(講談社)で連載された。
     
  • 群像劇の形式を取り、児童や教諭など様々な人物の視点で物語が進む。舞台となる赤ヶ瀬小学校4年2組の児童は30人全員に設定が与えられており、単行本では毎巻名簿が載せられている。
     
  • 2013年6月号の掲載分をもって連載が終了したが、はっきりとした決着が描かれないまま終わっており、単行本第5巻(最終巻)に収録された描き下ろしの最終話で正式な結末が描かれた。また、同年の1月号より後日談である続編の『校舎のうらには天使が埋められている <蝕>』が短期集中連載された。続編の単行本は、「校舎のうらには天使が埋められている」6巻として3月に、7巻として2014年の5月に刊行されている。
     

 

表紙画像・出典:http://www.ebookjapan.jp/ebj/131906/volume1/

あらすじ

 赤ヶ瀬小学校4年2組に転校してきた後堂理花は、内気な性格で周囲にうちとけられず悩んでいたところ、クラスきっての美少女である蜂屋あいに声をかけられ彼女と仲良くなった。ソラというわんこが夏休みの前に死んでしまったと悲しそうに話すあいに、理花は「ソラのかわりにあいちゃんを元気にしてあげる!」と約束し、2人の友情は深まるかのように思えた。しかし、あいは翌日に「ソラ」というネームプレートのついた犬の首輪を笑顔で理花の首につける。

 4年2組において「わんこ」とはいじめのターゲットのことであり、「ソラ」とは夏休み前に学校の屋上から落ちて死んだ前代わんこである曽良野(そらの)まりあの事だった。理花は入れ替わりのように転校してきたというだけで次のわんこにされてしまったのだった。理花はその日からクラスメートしかいない時だけ、首輪をつけられ四つん這いで歩くことを強要され、「犬の餌を無理矢理食べさせられる」「暴力を奮われる」といったいじめを受けるようになった。

 以前からいじめを良く思っていなかった浜上優は、いじめを止めるため説得に乗り出したが、次のわんこにされてしまった。クラスの中では浮いた存在の光本菜々芽は、以前に親切に接してくれたことのある優に好意を抱いていた。単独行動が多くいじめが行われる時も不快だからと席を外し関わらないでいた菜々芽だったが、いじめがエスカレートする中で、優から笑顔を奪ったいじめの首謀者・あいに立ち向かう決心をする。

気になったら試し読み!

 
校舎のうらには天使が埋められている (1)
小山鹿梨子 講談社
400円 (税別)
漫画界、戦慄。衝撃のエレメンタリー・サスペンス!――理花(りか)は引っこみじあんな女の子。やっとできた友だちとはなれ、赤ヶ瀬(あかがせ)小学校に転校してきました。「新しい学校で、新しい自分にかわりたい!」と意気ごんできたものの、なかなか勇気をだせません。そんな理花に最初に声をかけてくれたのは、勉強も運動もできる、かんぺき美少女のあいちゃんでした。「ようこそ4年2組へ!君も今日からぼくらの×××だ!」
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主な登場人物

赤ヶ瀬小学校4年2組

後堂 理花(うしろどう りか)

 2学期になってからやってきた転校生で、2人目の「わんこ」(いじめの対象)となる。第1話の主人公であり、その後はメインキャラの一人として登場する。
 内気な性格のせいで中々クラスに馴染めず自己嫌悪に陥っていたところ、あいに助け舟を出され彼女を慕うようになった。だが、それは突き落とすための前振りにすぎず、すぐにいじめられるようになった。理花へのいじめをやめさせようとした浜上優が非難対象になった時は、「わんこ」を優に変えてもらうため皆の尻馬に乗り、優を窮地に追いやった。優に「わんこ」が移ってからは、皆とともに嗜虐的な笑いを浮かべながら優をいじめるようになった。

蜂屋 あい(はちや あい)

 お淑やかなお嬢様のような雰囲気の美少女。4年2組で行われるいじめの首謀者。
 本をよく読み、成績優秀でスポーツも得意、校内合唱大会ではピアノの伴奏を任され、何事にも秀でたクラスの中心人物。いじめに関してもあい自身と取り巻きのグループが中心となっているが、自ら直接暴力や暴言を奮うことはなく、主な方法として周囲に直接的に命令をすることもなく「○○したら楽しいと思うよ」といった発言で間接的に扇動する。なお、いじめを行う児童らの顔は邪悪そうに醜く描写されるが、あいはいつも純真そうな笑顔を浮かべて傍観している。

浜上 優(はまがみ ゆう)

 いじめに積極的なグループとは親交関係を持っていたが、優自身はいじめを不快に思っていた。まりあが死んだ時に、窓越しに落下してくるまりあを見てしまい、その直後に屋上の方からやって来たあいと遭遇し「あいがまりあを殺した」と思い、あいを恐れている。
 理花を助けようといじめをやめることを提案した結果、3人目の「わんこ」となってしまう。クラスメートの隼人とは馴染で、互いに恋心を抱きあっていたが、保身を選んだ隼人に裏切られる。理花へのいじめには性的なニュアンスのものはなかったが、優が受けたものは服を脱がされ全裸にされるという、性的いじめであり、絶望して自殺を試みたが別クラスの先生・野呂瀬に止められる。

光本 菜々芽(みつもと ななめ)

 いじめに関わらず、序盤は目立たなかったが第5話であいに宣戦布告して、主人公のポジションを獲得した。
 教師から「面倒な親」と言われるほど別の意味で教育熱心かつヒステリックな教育ママを母親に持つ。受験に失敗したものの文武両道で、母親に言われて稽古事に通っている。家は裕福だが、支配的に振る舞う母親とは仲がよくなく、学校でも無愛想で孤立していた。
 どのような陰口を叩かれても相手にせずクールな態度を貫いていたが、気にかけてくれた浜上優の温かさには涙し、友達として一緒に行動することこそないものの優を大切に思うようになった。そんな優がいじめの対象となり追い詰められ、いじめを止めさせようと行動に出るようになる。

 

この漫画の特徴

4年2組はあいちゃんの独裁国家だった・・・

 赤ヶ瀬小学校4年2組に転校してきた後堂理花は強気な女子に気圧されてクラスに馴染めずにいた。そんな理花に声をかけてきたのはお嬢様のような姿をした蜂屋あい。蜂屋はクラスで浮く理花に声をかける優しいクラスメイトであるように見えたが、4年2組の生徒全員を従える影の独裁者だった。それを知らずに、近づいた理花はあいを含めたクラス全員にはめられていじめの対象にされてしまう。


出典:校舎のうらには天使が埋められている 1巻

 2話目でクラスメイト全員に犬扱いされた理花は暴力を振るわれることはもちろん、四つん這いで歩くことを強要され、ドッグフードを無理矢理食べさせられる。いじめの内容はえげつないが、教師は全くそれに気づかない。蜂屋達いじめの加害者の演技により教師たちはすっかり騙され、いいクラスだと思い込ませているようだ。
 

入れ替わるいじめの対象

 理花より前にいじめられていたクラスメイトが自殺し(蜂屋に殺された?)校舎を落ちて行く場面を目撃し、理花へのいじめに対し不快感を感じていた浜上。理花をいじめるクラスメイトの女子を声で静止したことがきっかけで理花の次のいじめのターゲットとなる。浜上が受けたいじめは「かいぼう」。「かいぼう」とはなんと服を脱がせて全裸にし晒し者にするということであった。
 浜上の異変に気付いた別クラスの教師が浜上がいじめを受けている現場に遭遇し、手を差し伸べる。浜上も少しその教師のおかげで元気を取り戻すが、教師もまた4年2組の罠にかかり、裸の浜上を助けた時の写真を晒されて休職に追い込まれてしまう。 


出典:校舎のうらには天使が埋められている 1巻


 

心の癒しであった友が標的にされ立ち上がる主人公・光本!

 クールに振る舞い4年2組のいじめに嫌悪しながら一切干渉することがなかった光本菜々芽。しかし、昔自分を孤独から救ってくれた浜上がいじめを受けていることに耐えられなくなり、いじめの首謀者である蜂屋あいに宣戦布告する。この瞬間にこの物語の主人公が光本に固定となり、いじめをなくすために立ち上がる第一人者になり、解決へと物語は進んで行く。


出典:校舎のうらには天使が埋められている 2巻


 

評価・感想

 いじめの首謀者・加害者が全て小学生中心であるにもかかわらず、いじめにより自殺者は出るほど壮絶なものということもありいじめもののシリーズ漫画の中では何も知らない小学生ならではのえげつなさが表現されている。ドッグフードを食べさせる、裸にするといった被害者の心に大ダメージを与えられるポイントを押さえているのも嫌な意味で印象に残った
 

この漫画のここが面白い!

 簡単に正義を振りかざさない、降りかざせない状況と空気感のリアルさが面白いと感じた。例えば、初回に主人公となった理花であればいじめの対象が浜上や光本に移った後、再び自分がいじめのターゲットにならないように目の色を変えて今の被害者をいじめまくったり、浜上の友達であった波多部は浜上が好きであるにもかかわらず自分がいじめの対象になるのが嫌で浜上をいじめた。
 漫画ではすぐに正義の味方が現れたり、復讐といっていじめの加害者を追い詰めて行くが、リアルではそう簡単にいじめを止めることは難しい。ましてやクラス全員が敵になっていれば上記の2人のように自分を守るために動くことの方が現実では普通だろう。
 だからこそそんな中立ち上がった光本はかっこいいし、一気に主人公としての地位を確立していけたのだと思う。正直ポッと出のキャラだったが光本の活躍に一気に期待がかかった瞬間だった。

 クラス全員が敵、教師も黙認の状況で光本は蜂屋を排除しいじめを終わらせることができるのか・・・。気になった方はぜひ漫画を手に取ろう!

 

評価点:60点

 

しょーり

しょーり管理者 兼 ライター

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ライターのしょーりです。

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