『氷菓』の評価・感想 日常の齟齬を解き明かす近接ミステリー!

氷菓とは?

  • ライトノベルの新人賞である角川学園小説大賞のヤングミステリー&ホラー部門で奨励賞を受賞し、角川スニーカー文庫のサブレーベルである〈スニーカー・ミステリ倶楽部〉から刊行された著者のデビュー作『氷菓』。
     
  • 2017年9月現在、シリーズ累計220万部突破(文庫本)。
     
  • メディアミックス化もされており、コミックスは累計90万部、アニメBD&DVDは19万部を突破している。
     

表紙画像・出典:http://www.ebookjapan.jp/ebj/27123/volume1/

あらすじ

 何事にも積極的に関わろうとしない「省エネ主義」を信条とする神山高校1年生の折木奉太郎は、姉・供恵からの勧めで古典部に入部する。しかし、古典部には同じ1年生の千反田えるも「一身上の都合」で入部していた。奉太郎とは腐れ縁の福部里志も古典部の一員となり、活動目的が不明なまま古典部は復活する。そして、えるの強烈な好奇心を発端として、奉太郎は日常の中に潜む様々な謎を解き明かしていく。
 ある日、奉太郎はえるから助けを求められる。それは、彼女が元古典部部長の伯父から幼少期に聞かされた、古典部に関わる話を思い出したいというものだった。奉太郎の幼馴染で里志に好意を持つ伊原摩耶花の入部後、古典部の文集『氷菓』がその手掛かりだと知った奉太郎は、仲間たちと共に、『氷菓』に秘められた33年前の真実に挑むことになる。
 

気になったら試し読み!

 
氷菓 (1)
漫画:タスクオーナ 原作:米澤穂信 キャラクター原案:西屋太志(京都アニメーション) KADOKAWA / 角川書店
560円 (税別)
省エネを自分のスタイルとする奉太郎だが、姉の命令で「古典部」に入部することになってしまう。部室を訪れた奉太郎は、そこで好奇心旺盛な少女「千反田える」と出会い「部室密室事件」に遭遇してしまうのだが!?
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主な登場人物

折木 奉太郎(おれき ほうたろう)

 シリーズの主人公。神山高校の男子生徒。「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に。」をモットーとする省エネ主義者。
 校内の部活動にも興味はなかったが、姉からの勧め(脅迫)をきっかけに廃部寸前だった古典部に入部する。そこで出会った千反田えるに推理力を見込まれ、しばしば成り行きで探偵役を務めることになる。積極的に行動して解決することはなく、その場の状況と手がかりから脳内で推理を組み立て解決していく。考え込む際には前髪をいじる。幾つかの「事件」を解決したことで周囲から賞賛を得るも、本人はそれがただの運、あるいは閃きによるものにすぎないとしている。

千反田 える(ちたんだ える)

 シリーズのヒロイン。神山高校の女子生徒。「一身上の都合」により古典部へ入部し、部長も務める。「豪農」千反田家の一人娘。
 普段は穏やかな物腰で言葉遣いも丁寧だが、ひとたび日常の中の些細な違和感や興味を引かれることを見つけると、大きな瞳を輝かせて好奇心の権化と化す。口癖は「わたし、気になります」。好奇心の強さゆえに、奉太郎ら周囲にいる人間を巻き込むことも多い。
 成績優秀で料理も上手。嗅覚、視覚など五感に優れ、視力は2.0を超える。また、記憶力もよく人の名前を覚えるのが得意だが、やや鈍感な所があり、奉太郎たちが何かに気付いた時でも一人察しないことがある。

福部 里志(ふくべ さとし)

 神山高校1年D組の男子生徒。奉太郎の親友で、彼につられて古典部に入部する。手芸部を兼部し、総務委員会にも所属している。
 一般男子としては背は低め。笑ったような表情をいつも崩さない。雑学に長け、現代史から推理小説まで広範な知識を持つことから、自ら「データベース」と自認するが、自分から推論を組み立てるようなことはほとんどせず、「データベースは結論を出せない」が口癖。また、学業には興味がないため、成績は振るわない。いつも巾着袋を持ち歩いており、その中身は様々。上記のように総務委員・手芸部・古典部を掛け持ちしているため校内での顔は広く、知り合いも多い。

伊原 摩耶花(いばら まやか)

 神山高校1年の女子生徒。漫画研究会と図書委員会に所属していたが、里志の後を追って古典部にも入部する。
 背が低く童顔であり、外見の印象は小学生の時とほとんど変わらない。その容姿に似合わず性格は苛烈で、七色の毒舌を持ち、何事にも妥協を許さず他人のミスにも容赦ない。一方で、自らの失敗にも厳しい。その勤勉な性格から、千反田ほどではないが学業成績は良い。
 奉太郎とは小・中学校の9年間同じクラスだった腐れ縁の仲だが、奉太郎が起こした中学時代のある事件や消極的な性格から、奉太郎に対しての態度はかなり冷たかった。しかし古典部でのいくつかの事件を通じて奉太郎に対する認識を徐々に改めていく。

 

この作品の特徴

省エネ主人公と好奇心旺盛ヒロインの出会い

 勉強にもスポーツにも恋愛にも淡白で「やらなくていいことはやらない、やらなければいけないことなら手短に」をモットーにする省エネ主義の主人公・折木奉太郎。そんな彼は姉の頼みで姉の青春の場であった古典部の部員不足による廃部を止めるため古典部へ入部することになった。
 奉太郎が古典部の部室を訪れると美しい黒髪に大きな瞳の女子生徒・千反田えるがすでに部室にいた。しかし、自分(奉太郎)が部室の鍵を持ち、錠を開けたのにどうして千反田が部室にいたのか?なぜ部室に入れたのか?なぜ閉じ込められていたのか?
 何かの間違いだと適当に千反田をやり過ごし部室を出て行こうとする奉太郎に千反田は飛びつき、一言「私気になります」。


出典:氷菓 1巻より

 千反田の好奇心は省エネ主義の奉太郎の謎解きの才能を気づかせ、そして薔薇色の高校生活へと染め上げていくことになる。
 

日常の齟齬より発生する謎を解く!

 千反田が部室に入れた謎、愛なき愛読書の謎、古典部文集捜索の出来事など日常に潜む出来事の兼ね合いやすれ違いから生まれる謎解きが本作の醍醐味。小さい事件でも確実に周りが納得できる答えを提示し続けた奉太郎の評価はうなぎのぼり。それにより伊原の毒舌は少しずつ減り?、千反田は古典部に入部した理由である叔父のことについて奉太郎に打ち明けた。


出典:氷菓 1巻より


 

古典部文集・氷菓を巡る謎

 秋の文化祭に向けて古典部の出し物・文集を作成するためにバックナンバーを手にいれた古典部の面々。創刊号は見つからなかったものの、第二号にはなんと千反田の叔父が起こした出来事について記された始まり書きを見つける。千反田は奉太郎だけでなく古典部部員の福部、伊原にも叔父のことを打ち明け、古典部全員で33年前叔父に何があったのか、なぜ叔父の言葉を聞いたかつての千反田は泣いてしまったのかの謎について迫っていく!


出典:氷菓 2巻より


 

評価・感想

 日常の齟齬から生まれる謎や疑問について深く追求し謎を解く本格ミステリー作品のコミカライズ版。ミステリーといえば大抵、人が死んだり、いなくなったりというような事件がスタートになる場合が多いがこの作品ではそういった描写はなく、高校を舞台に”なぜ先生に怒られなければならなかったのか””なぜ部室に閉じ込められていたのか”というような小さな謎から、文集・氷菓を巡る”33年前の英雄譚の秘話”や”映画の結末の真意を解く”といった物語の根幹となる謎まで幅広くも、平和的な謎解きが多い
 緊張感や恐怖感は他のミステリーに負けているが、ミステリーの色は濃くしかも主人公が高校生と誰もが経験したことのある立場から事件に触れていくため、敷居が低く、誰にでも読みやすい内容となっている。ミステリー系作品初心者だったり、活字が苦手な人はこの作品のこの漫画からスタートとし、ミステリージャンルに触れていけば抵抗なくミステリーが好きになること間違いなし。

 しかしながら、やはり氷菓に関してはやはりアニメでの視聴をオススメしたい。アニメの流動感や謎解き中の緊張感はやはり漫画や小説では表現しづらい部分があったり、小説が原作のため必然的に文字は多くなり読み疲れることがある。漫画をすすめるサイトではあるがここだけはどうしても譲れない(笑)
 とはいえ、アニメには収録されていない話が漫画にで描写されていたりもするので、流れとしてはアニメを全話見終わった後に氷菓の漫画を手に取りその続きを読み進めるというのがいいだろう

 

評価点:90点
しょーり

しょーり管理者 兼 ライター

投稿者プロフィール

ライターのしょーりです。

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  1. good article very hopeful

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