『新宿スワン』の評価・感想 女を騙して金を食らう職業とは!? スカウトマンだった作者が描くリアルな実情!

新宿スワンとは?

  • 『新宿スワン〜歌舞伎町スカウトサバイバル〜』は、和久井健による日本の漫画作品。講談社刊『週刊ヤングマガジン』にて、2005年20号から2013年45号まで連載された。
     
  • テレビ朝日系列で2007年8月18日からドラマ化もされた。2015年には実写映画版が公開された。
     
  • 作者の和久井は、かつて実在した日本一のスカウト会社の元スカウトマンであり、『新宿スワン』は実在したスカウト会社を舞台とした作者本人が体験した出来事にフィクションを交えて描かれている
     

表紙画像・出典:http://www.ebookjapan.jp/ebj/17199/volume1/

あらすじ

 夢見ていた東京と現実の東京との違いを感じながら、新宿を歩いていた白鳥タツヒコ19歳はある時男達に絡まれ殴り合いの喧嘩を勃発させたことでスカウト会社バーストの幹部・真虎と出会う。真虎はタツヒコの人相の悪さと物怖じしない堂々とした態度を気に入り、(スカウトという仕事に)スカウト。水商売、風俗、AVなど闇の仕事スカウトになんかかっこいいと感じたタツヒコは特に行くあてもなく、夜の新宿へ出て女をスカウトすることに。
 ところが、スカウトの世界は甘いものではなかった。30連敗してスカウトの難しさや、風俗や水商売をしている女達の事情、ヤクザや麻薬といった闇の世界につながるスカウト業の事情を知り、そしてタツヒコは様々な出来事に巻き込まれていく・・・。
 

気になったら試し読み!

 
新宿スワン (1)
和久井健 講談社
500円 (税別)
スカウト会社“バースト”の見習い社員となった白鳥(しらとり)タツヒコ、19歳。街角でギャルに声かけて、お水のシゴトを斡旋(あっせん)し、紹介料でメシを食う。そんな歌舞伎町ディープビジネスの世界に飛び込んだ彼を待っていたのは、何よりもカネがモノをいう弱肉強食の掟だった……!!日本最大の繁華街の雑踏に立ち、覗き込んだ裏社会のリアル。歌舞伎町のスカウトほどサイテーで最高な商売はない!!
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主な登場人物

スカウト会社・バースト

 歌舞伎町を拠点とするスカウト会社。歌舞伎町では事実上最大手。ケツモチは同じ歌舞伎町の暴力団・紋舞会。

白鳥龍彦(しらとり たつひこ)

 本作の主人公。通称タツヒコ。
 歌舞伎町でパチンコ打ちに失敗して落胆していたところを真虎に誘われスカウトの世界に入る。バカで勘違いな性格で一人で突っ走る場面が多いが、担当している女の子や後輩を守るため奮闘したり、人道に反する物事を許さないという熱い一面もあり、その辺りを真虎や山城兄弟、馬頭兄弟に見込まれている。またケンカは並みのスカウトマンを一掃するほど強い。
 普段着ているスーツは実在するオーダースーツ会社・Sensibirity(センシビリティ)のスーツ。色はグレー。

真虎(まこ)

 バースト幹部。タツヒコの元上司で、パチンコ打ちに失敗して疲弊していたタツヒコに食事をおごってスカウトの道へ誘った。瞼と上唇に傷がある。タツヒコが困った時や危ない目にあっている時などは、タツヒコを助けるため密かに裏で動いている。洞察力が鋭く、相手にカマを掛けるのが得意。その為社長や他会社の人物からも一目置かれている。喫煙者で銘柄はセブンスター。
 一見爽やかで優しそうな容姿をしているが笑顔で恐ろしいことを言ったり、葉山と意味ありげな会話をしていたりと、謎が多い。

関玄介(せき げんすけ)

 バースト幹部。バーストに入る前はヤクザをやっていた。
 タツヒコのことを普段は「タチュヒコ」と呼ぶ。バーストの新人スカウトで遊ぶのが好き。
 右目に斜視を持っており、また大きな戦いの前には大便をするというクセがある。ガサツでケンカっ早いが、シャブ中の女性を慰めたりと優しさも持ち合わせている。
 社長である神を「タヌキ」と呼ぶなど侮っているような態度が目立つが、過去に自分の所属していた組の組長に殺されかけたところを仕事で訪れた神に助けられ、バーストに入社したという経緯があり、心の底での会社への忠誠心と社長への信頼は幹部に相応しいものを持っている。

 

この漫画の特徴

スカウト会社に入社するタツヒコ

 ほぼ一文無しの主人公・白鳥龍彦はスカウト会社幹部の真虎に堂々とした迫力のある態度を気に入られスカウト会社へと入社した。そして、いざスカウトを行うタツヒコ。しかし、女の子に声をかけ続けるものの無視されたり、罵られたりといつのまにか30連敗していた。
 そんなタツヒコの不甲斐なさを笑う真虎にタツヒコは「アンタがやってみろ」と焚きつける。真虎がスカウトを行うと最初の一人目で電話番号を取得するまでの結果を挙げた。コツは女の子に考える間を与えないこと!それと断る理由をなくすこと!であると真虎は言うが、悔しさのあまりかタツヒコは自分のやり方でやると言い残し、凹むことなくスカウトに挑戦し続けていく。


出典:新宿スワン 1巻より


 

闇の世界に密接するスカウト業の事情

 身を売る女の子の事情、闇金、麻薬、AV、他スカウト会社との陣地争奪による抗争、ケツモチヤクザの介入などなど社会の闇の部分をスカウト会社の視点で展開される。
 序盤でヤクザに連行される女の子を見てからタツヒコは、麻薬で苦しむ女や金のために働く女に同情し、絶対に見捨てずやりがいのある仕事ができるように場を提供しようと必死になる。それでうまくいくこともあるが、当然麻薬やお金などタツヒコでは解決できないものがほとんどで結局助けられないまま話が終わることが多い。何もできなかった、どうすれば良かったのかと苦悩しながら一人のスカウトマンとしてタツヒコは成長していく。


 

評価・感想

 女をキャバクラや風俗、AVへスカウトするスカウトマンになった主人公のドラマを描きながらスカウトという職業の実態を余すところなく紹介した漫画。
 作者自身がスカウトマンをしていた事実を元にしている(展開は創作)ため、作中でのエピソードに近しいものが”実際にあった”という恐ろしさが常に付きまとい、読む側にもかなりリアルな緊張感が伝わってくる。こういった漫画では登場人物たちに読者が恐怖できるくらいのリアルさが求められるがこの漫画では見事にそれが表現できていた。

 肝心の内容について。基本的には主人公・タツヒコがスカウトした女の子を仕事に就かせるまでのエピソードとスカウト会社の規模拡大に同業者同士の抗争がメインとなっている。良い部分は自分の身の安全が脅かされる恐れのある環境で様々な出来事や事情があり女の子やスカウト会社の仲間を守ることを信条とする主人公が多くの危険な出来事に立ち向かっていくかっこよさがすごく良い。しかし、全ての出来事でうまくいかないことももちろんあり、時には女の子も仲間も救えず涙を飲むこともあったり、自分自身さえも危険な場面に遭遇することもあったりと、結果的にバッドエンドになる話もある。これこそが作者の体験してきたリアル、スカウト会社のリアルなのであろう。
 絶対に他では語られるはずのないこの作者だからこそ描けた世界観。読んで損なし、知っておいて損なし、ぜひともおすすめ!
 

評価点:87点

 

しょーり

しょーり管理者 兼 ライター

投稿者プロフィール

ライターのしょーりです。

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