『この音とまれ!』の評価・感想 箏曲??を通して描かれる超青春ストーリー!

この音とまれ!とは?

  • 『この音とまれ!』(このおととまれ)は、アミューによる日本の少年漫画。作者の連載デビュー作であり、『ジャンプスクエア』(集英社)において、2012年から連載中。
     
  • 本作は、箏という和楽器を題材とした学園漫画である。作中には古典曲から本作オリジナルの曲まで多種多様な箏曲が登場し、2017年には作中に登場する箏曲を収録したCDがリリースされ、文化庁芸術祭で優秀賞を受賞した。
     
  • 累計200万部突破。

     

表紙画像・出典:http://www.ebookjapan.jp/ebj/216753/volume1/

あらすじ

 主人公・久遠愛は、中学時代、悪名高い不良少年だったが、ある年の春、神奈川県の県立高校・時瀬高校に進学し、箏曲部に入部する。
 箏曲部の部員は部長の倉田武蔵1人しかおらず、箏曲部は廃部の危機に瀕していたが、愛に加え、箏の家元の娘・鳳月さとわや、愛の友人の足立実康・水原光太・堺通孝が入部したことで、部員不足による廃部の危機からは脱する。しかし、愛のことを快く思わない教頭は箏曲部の廃部を目論み、箏曲部の部員たちは部の存続を懸けて、1ヶ月後に全校生徒の前で演奏を披露することになる。

 1ヶ月後、演奏曲「流星群」の演奏を見事にやり遂げた箏曲部の部員たちは、教頭を認めさせることに成功し部の存続を勝ち取ることができた。その後、武蔵の同級生・来栖妃呂を加えて計7名となった箏曲部は、関東地方の高校の箏曲部が出場する「関東邦楽祭」にエントリーし、入賞を目指すのだった。
 

気になったら試し読み!

 
この音とまれ! 1巻
アミュー 集英社
416円 (税別)
先輩が卒業して箏曲部ただ一人の部員になってしまった武蔵。四月になり新入部員の勧誘に励むのだが、部の存在自体を知らない人も居る状態。そんな彼の前に現れた、見るからに不良で箏とは縁の無さそうな新入生が入部したいと言い出して!?
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主な登場人物

久遠 愛(くどお ちか)

 本作の主人公。時瀬高校の男子生徒。箏曲部の部員。
 かつては札付きの不良少年だったが、中学3年生のときに箏職人の祖父に預けられ、彼との交流を通じて更生する。その後、祖父と死別し、現在は叔母の家に居候している。口が悪く短気だが、仲間思いな一面も持つ。
 箏曲部に入部した理由は祖父が大事にしていたものは自分のせいでほとんど壊れてしまった、だから残っているものがあるなら守りたいし、大事にしていたものがどんなものなのかちゃんと知りたいという思いから。

倉田 武蔵(くらた たけぞう)

 本作のもう1人の主人公。時瀬高校の男子生徒で、学年は愛の1つ上。箏曲部の部長。
 地味だが、真面目で面倒見が良い。妃呂とはクラスが同じで、当初は彼女に嫌悪感を抱いていたが、箏曲部やクラスでの交流を通じて次第に好意を抱くようになる。
 かつての箏曲部先輩に箏曲部を任され部を守らなくてはと躍起になっている。

鳳月 さとわ(ほうづき さとわ)

 本作のヒロイン。時瀬高校の女子生徒で、学年は愛と同じ。箏曲部の部員。
 箏の家元・鳳月会の出身で、当代家元を母に持つ。箏の演奏に関して天賦の才を有するが、中学生のときに母と仲違いし、破門される。破門後は家を出て一人暮らしをしていたが、神奈川県予選での演奏がきっかけで母と和解し、家に戻る。
 自身で弾くことに問題はないが、誰かに教えたことはなく、教え方が分からないと吐露する場面も。

足立 実康(あだち さねやす)

 愛の中学時代からの友達。時瀬高校の男子生徒で、学年は愛と同じ。箏曲部の部員。
 ギター経験者で、リズム感が良い。
 かつて不良に襲われていた時、縁もゆかりもない愛に友達の友達だからという理由で助けられてから感謝すると同時に友達となった。恩返しするタイミングを失っていたが、部員の足りない箏曲部に入部するという形で恩を返そうとした。

水原 光太(みずはら こうた)

 愛の中学時代からの友達。時瀬高校の男子生徒で、学年は愛と同じ。箏曲部の部員。
 人懐っこく、好感を抱いた人に抱きつく癖がある。リズムを取ることが苦手。

堺 通孝(さかい みちたか)

 愛の中学時代からの友達。時瀬高校の男子生徒で、学年は愛と同じ。箏曲部の部員。
 作中では、実康、光太と合わせて「3バカ」と呼ばれる。2人とは幼稚園からの仲で、1年生のときはクラスも同じだったが、2年生では2人と別のクラスになる。

来栖 妃呂(くるす ひろ)

 時瀬高校の女子生徒で、学年は愛の1つ上。箏曲部の副部長。
 さばさばした性格の持ち主だが、中学時代にクラスメイトがついた嘘によって人間関係を壊された過去があり、そのことがトラウマとなっている。箏曲部に入部後、そのトラウマから自分を救ってくれた武蔵に好意を抱く。

 

この漫画の特徴

不良が祖父の意思を汲み、箏曲部へ!

 両親に捨てられ自暴自棄になっていた主人公・久遠愛は琴職人だった祖父に引き取られ琴を通じ少しずつ心を開いていく。しかし、今まで傷つけてきた者たちからの仕返しにあい祖父の作業場は荒らされてしまう。周りの者は久遠を疑うが祖父だけは久遠が犯人でないことを信じていた。
 その後、祖父は亡くなり、悔やんだ久遠は”祖父の大切にしていたものを守りたい”と高校に入りかつて祖父が創設した箏曲部に入部しようとする。久遠が入る前は部員は2年の武蔵1人しかおらず部として成立していなかった(最低部員5人)が、箏の家元・鳳月会の出身である鳳月さとわや久遠と同じく不良でなの知られた足立実康、水原光太、堺通孝が入部し部として一応成り立った。
 しかし、不良の久遠が所属する箏曲部を潰したい教頭から、一ヶ月後全校生徒の前でまともな演奏ができなければ廃部すると厳しい条件を突きつけられるのだった・・・。


出典:この音とまれ! 1巻より


 

全校生徒の前で演奏する曲は「流星群」

 全校生徒の前で演奏し、全員を納得させることができなければ、廃部になってしまうという条件の中、演奏曲を求め男子5人はさとわに連れられ近くで開催される邦楽のイベントに行くことに。
 そこでは鳳月会の精鋭たちが課題曲「流星群」を弾き鳴らすが実際に琴を弾いているのはなんと小学生。部員たちはこれなら自分たちでも一ヶ月あればできるのではと考えるが実際の演奏では音は重く、空気をビリつかせ部員たちは圧倒されてしまっていた。
 こんなのできるのかと慌てる男子たちだがちゃんと発表の日までに間に合うのか・・・?


出典:この音とまれ! 2巻より


 

全校生徒の前で演奏!

 演奏曲が決まってからは久遠をはじめとした不良たちは自作した段ボールに糸を張って弦の場所を正確に覚える練習をしながら、琴を鳴らす爪を買ったおばあちゃんちで秘密の特訓を進め、さとわも部員たちと打ち解けて教えかたが分からないと本音をこぼしたりとバラバラだった部員が一つにまとまっていく。
 そして、箏曲部と教頭の対決の日当日。全校生徒の期待値はほぼなし。それどころか、教頭との喧嘩を望んでいた。しかし、生徒の野次をものともせず部員たちは課題曲「流星群」を弾き鳴らし全校生徒を圧倒するのだった。


出典:この音とまれ! 3巻より

 

この音とまれ! 作中オリジナル楽曲「龍星群」↓

 

評価・感想

 両親に捨てられ不良だった少年が祖父への優しさとその祖父が大切にしていた琴を通じて更正、そして祖父の創設した箏曲部を守るために箏曲部に入り様々なトラブルを解決したり、箏曲で全国大会を目指すといったザ青春漫画のような内容。箏曲といったマイナーなジャンルへの興味で読者の興味を引きつけているが必ずしもそれだけで生き残っているのではなく、祖父への恩返しやさとわの家元からの破門、新入部員からの嫌がらせなど主人公たちが箏曲部に入るまでの背景や裏付け、そして箏曲部であるからこそのエピソードがしっかりとあり、ちゃんと実力もってして有名になっている

 序盤は主人公の今までの行いから箏曲部に入ることも続けることも疑われ、しまいには理不尽な条件を突きつけられてしまうがなんとか部員全員で協力し乗り越えていく。箏曲を前面に押し出してくるのではなくあくまで祖父への感謝や謝罪を伝えるためのツールとして琴が使われておりマイナージャンルの割にはジャンルの押し付けがしつこくなく、むしろ箏曲という知らないジャンルへの抵抗感を和らげてくれるような良展開だった。
 全校生徒の前で披露する場面では演奏中に主人公と祖父とのエピソードが挟まり、明らかなお涙頂戴の内容だったが、そうとわかっていても感動!


出典:この音とまれ! 3巻より

 箏曲という珍しいジャンルへの興味で手に取る人が多いと思うが、このレビューでは珍しさではなく一つの秀でた青春漫画としてオススメしたい!

評価点:81点
しょーり

しょーり管理者 兼 ライター

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