『中卒労働者から始める高校生活』の評価・感想 中卒が通信制高校に通って青春を謳歌!?

中卒労働者から始める高校生活とは?

  • 『中卒労働者から始める高校生活』は佐々木ミノルによる日本の漫画作品。『コミックヘヴン』(日本文芸社)にて、2号より連載中。
     
  • 単行本・電子書籍合わせて累計100万部を突破、『次にくるマンガ大賞』「これから売れて欲しいマンガ」部門では第1回・第2回ともベスト10には入らなかったが連続でノミネートされた。
     
  • 作中のエピソードは、若いころに実際に通信制高等学校に通った作者の実体験がベースとなっている。
     

表紙画像・出典:http://www.ebookjapan.jp/ebj/168503/volume1/

あらすじ

 主人公・片桐真実は、物流会社に勤務する18歳の青年。
 母は既に他界し、父は事件を起こし服役したため、世間体を気にしてそれまで住んでいた家を離れ、新たに親戚から借りた一軒家で3歳年下の妹・真彩と二人暮らししている。真実は真彩の保護者代わりとして家計を支えるため、中卒後は高等学校へは進学せず就職。そして働き始めて4年目の春、現場の指揮係を任される予定だったが、社長の友人の息子である大卒の梶原優が縁故入社し指揮係を奪われたうえに、梶原からは見下されたことから衝突してしまう。
 そんな折、妹の真彩は全日制高等学校の受験に失敗し、中学の担任から通信制高等学校を勧められたことで、通信制のある高等学校に進学。真実は真彩から「一緒に行こう」と誘われたが当初は興味がなく断ったものの、梶原に見下されたことで心機一転「もう誰にも笑わせねえ」と、高卒の資格を得るため真彩とともに東々第一高等学校の通信制に入学する・・・。
 

気になったら試し読み!

 
中卒労働者から始める高校生活 1巻
佐々木ミノル 日本文芸社
400円 (税別)
工場で働く18歳の片桐真実(かたぎりまこと)は、自分を中卒だと笑い捨てた周囲を見返すべく、高校受験に失敗した妹の真彩(まあや)と共に人種のルツボ“通信制高校”に入学する。そして入学式当日、見目麗しきお嬢様・逢澤莉央(おうさわりお)と劇的な出会いを果たす―――。剥き出しの青春ラブコメ、堂々開幕!!
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主な登場人物

東々第一高等学校生徒

 基本は全日制だが通信制コースもある。通信制コースの生徒は基本は通学の必要はなくレポート提出(郵送ないし持参)だが、通学しての授業(スクーリング)もあり、授業は全日制コースの教室を借りて行っている。また、通信制コースの生徒には制服の着用義務はないが、真彩や莉央、新、遼介は制服で通学している。通信制コースも全日制コース同様に期末考査、文化祭、生徒会活動などがあるほか、山能市の山能高等学校通信制コースの生徒会との合宿交歓会も行っている。
 

片桐 真実(かたぎり まこと)

 本作の主人公。18歳。真彩の兄。母が他界し、父が服役してしまったため、家計を助けるため高校進学を断念し、自宅近くの㈱瀬野物流に就職する。職場では倉庫での荷物の仕分け作業を行っている。
 就職してからは高等学校に通うつもりはなかったが、職場で大卒の梶原から見下されたことから、一念発起し高卒、大卒の資格を取ろうと真彩とともに東々第一高等学校の通信制コースに通学することを決意する。
 職場にいきなり現れた父の目の前で、社長に「(父は)死んだんですよ」と言い放つほど父のことは激しく憎んでいる。

片桐 真彩(かたぎり まあや)

 真実の妹。15歳。明るく天真爛漫な性格で、様々な年齢の同級生達ともすぐに仲良くなれるなど社交的なタイプ。
 兄とは正反対で勉強は苦手で、合格するだろうと思われた全日制の高等学校の受験に失敗してしまう。中学校の担任から通信制のある東々第一高等学校の入学を勧められ、入学することになった。なお、通学しない日は普段はアルバイトをしている。
 父が逮捕され服役したことには悲観せず、今の家に引っ越しする際にも真実に明るく語り掛けたり、また自身のために高等学校進学を断念した真実を気遣って一緒に通信制高等学校に通うことを勧めるなど、兄思いな面もある。

逢澤 莉央(おうさわ りお)

 真実・真彩が通う東々第一高等学校通信制コースの同級生で、富豪の令嬢。
 小学生のころは非常に明るく冗談が大好きで、学校でも男子と相撲を取って投げ飛ばすほどだった。ただ、家庭教師として従兄のタクヤが現れてから、どんどん性格が暗くなっていき、級友も距離を置き始める。
 タクヤから性的虐待を受け続けていたが、心の中では助けてほしいと願いつつも口に出さぬまま殻にこもるようになってしまう。事情を知らなかった母にタクヤと仲良くするよう強要され反発。母親が進学を希望する高等学校には行かず、東々第一高等学校の通信制コースに進学することになった。

一条 新(いちじょう あらた)

 莉央と行動を共にしている男子生徒。両親は幼いころに離婚。働かない父に愛想を尽かして家を出た母について行き、莉央の家で住み込みで家政婦として働いている母とともに莉央の自宅で暮らしている。
 また、莉央が通信制高等学校に通うことを決めた際には、その姿を見て自分も同じく通信制に通うことを決意。
 真実のことは当初から快くは思っておらず、年上なのに真実にタメ口で話しぶつかり合っていた。

斉藤 若葉(さいとう わかば)

 真実らと同級生。20歳のシングルマザー。普段はSEIBOデパートの売り場で店員のアルバイト(準社員)をしている。大口のお得意様がおり、営業成績は良い。本人は社員登用を希望しているが、高卒資格を取ることが社員登用の条件であるため、東々第一高等学校通信制に入学した。
 元々、全日制の高等学校に通っていたが、1年生の時に一夜限りの肉体関係を持ったときに妊娠してしまい、両親や周囲の反対を押し切り通っていた高等学校を中退してしまう。
 ひなぎくを出産してから1年間は親戚の家に居候し、それからは安アパートの2階でひなぎくと二人で暮らしている。

 

この漫画の特徴

中卒労働者が通信制の高校へ入学

 勉強が全くできない妹・真彩が中学浪人をしかけ、担任から通信制高校の案内をもらってきた。年齢不問・中卒者歓迎のその高校に真彩は募集することになったが、募集の条件を見て最終学歴が中卒ですでに社会人として働いている兄に一緒に高校生をしようと誘う。しかし、兄・真実は今の仕事場で指揮係を任せられる立場となり、"学歴は自分には必要ない"、"真彩さえ一人前にできれば誰に何を言われる筋合いもない"という思いから真彩の誘いを断った。
 しかし、突然真実の働く仕事場に就職した社長の友達の息子・梶原(大卒)が真実に任せられるはずだった指揮係を担うことになる。自分が担うはずだったのに・・・と社長への疑惑、大卒の梶原と中卒の自分を周りに比較される中、梶原の「妹のために中卒で働いてんだよね 泣けるね」という悪気のない一言が真実の中の劣等感を一気に炙り出し2人は喧嘩してしまう。
 そして、真実は周りを見返してやろうと真彩と共に通信制高校へ入学することを決意する・・・。


出典:中卒労働者から始める高校生活 1巻より


 

通信制の高校に入学したそれぞれの理由

 通信制高校に通う人は真彩のような勉強ができない者から、真実のように事情があり仕方なく働く必要があった中卒者、再び勉強をしようとするご老人、シングルマザーなどなど多くの世代がその学校に集まった。
 シングルマザーの斉藤若葉は高校一年生で妊娠し、出産。実家とは距離を置きながら、娘・ひなぎくを1人で育てていた。職場ではパート扱いだが、高校の資格を取ることで社員登用してもらえるため通信制高校に通っている。しかし、たくさんの家事と娘の相手の間に学校生活が入ったことで娘のわがままの相手もしてやれず強く当たってしまい・・・。
 真彩と同じ歳の逢澤莉央は真彩のように頭が悪いわけでもなく、かといってお金もないわけではないのに母の期待を裏切ることを目的に通信制高校に入学した。従兄弟のタクヤに小学生の頃から性的虐待を受けていたが、それを知らない莉央の母がタクヤと仲良くしろと起こったことが原因である。虐待は高校生になった今でも続いており、莉央は誰にもそれを言えずに苦しんでいた。しかし、莉央を想う真実がその事実に気づき・・・。


出典:中卒労働者から始める高校生活 1・2巻より


 

評価・感想

 この漫画の内容は題名の通り、中卒後高校生にはならずに社会人となり妹のため生活のために働いていた主人公・真実が、中卒に対する世間の見方や中卒であるがために比較され卑下されてしまうことを変えるために通信制の高校に通うという内容。通信制の高校といえば学力がなく仕方なく進学する場合や大人になってから資格を取得するためなどの場合で入学するためほとんどの人はその存在を知るだけで内容までは詳しく知らないことだろう。この漫画ではその辺の知っているようで知らないジャンルを軸に登場人物達の過去や人間性、思いなどにフォーカスしたヒューマンドラマとなっている。

 それぞれの抱える事情に一歩踏み込み主人公が手を差し伸べるという展開があり、そのエピソードを経て周りの生徒と仲良くなっていくというのが基本的な流れなのだが、主人公もまた事情を抱えている登場人物の1人であり中卒という重い枷を付け続け卑屈になってしまっているため周りと仲良くなるのは当然スムーズにはいっていない。最初は悩んでいる人の話を聞くどころか、"聞いてもどうすることもできない"、"自分のことを好きになってくれる人なんていない"など完全に線を引いていており、主人公とは言えない卑屈っぷりだった。
 しかし、主人公のもつ経歴であればこれくらい卑屈になるのは当然であって、むしろそこに人間味を感じることだろう。そして弱みをさらけ出した主人公が「普通が良かった」と泣いて言うシーンは感動すること間違いなし!


出典:中卒労働者から始める高校生活 2巻より

 生徒達の世代が違うため、生徒の抱える悩みや思いの背景が盛りだくさん! 単なる学園ドラマを描いた青春漫画とは一味違った面白さがある。通信制高校に通っている=バカなんて偏った認識を持つ人は是非とも読むべきな一作です!

評価点:93点
しょーり

しょーり管理者 兼 ライター

投稿者プロフィール

ライターのしょーりです。

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  1. Great article. Good to understand for everyone.

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