『かつて神だった獣たちへ』の評価・感想 国を平和にした怪物に国を壊される!?

かつて神だった獣たちへとは?

  • かつて神だった獣たちへは2014年7月より別冊少年マガジンより連載開始。
     
  • 『黄昏乙女×アムネジア』の作者めいびいが描く、ダークファンタジー。
     
  • 【別冊マガジン】『かつて神だった獣たちへ』公式PV

     

表紙画像・出典:http://www.ebookjapan.jp/ebj/266846/volume1/

あらすじ

 禁忌の技術をもって作り出された異形の兵士“擬神兵”。戦乱の国を和平へと導いた彼らは“神”と称えられ、英雄となった。
 がしかし、内戦から時を経た今は、人々から“獣”と呼び擬神兵を恐れ、蔑む。一方擬神兵もまたそんな人々の態度や戦争を経て歪んだ考えにより人を遅い、支配し、これまで守って来た国を破壊しようとする。
 そんな擬神兵たちを殺すために旅を続ける“獣狩り”のハンクと擬神兵だった父を彼に殺された少女・シャールがある日出会う。父は何故殺されなくてはならなかったのか?その意味を知るため、シャールは、ハンクと共に旅することを決意する!

気になったら試し読み!

 
かつて神だった獣たちへ 1巻
めいびい 講談社
400円(税別)
禁忌の技術をもって作り出された異形の兵士“擬神兵”。戦乱の国を和平へと導いた彼らは“神”と称えられ、英雄となったのだが、内戦から時を経た今は、ただ“獣”と呼ばれている……。その擬神兵たちを殺すために旅を続ける“獣狩り”のハンク。そして、擬神兵だった父を彼に殺された少女、シャール。父が殺された意味を知るため、シャールは、ハンクと共に旅することを決意する!
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主な登場人物

ハンク・ヘンリエット

 本作の主人公。かつて南北の戦争で擬神兵達を総統し、兵士としての生き方を教えた擬神兵隊の隊長だった。しかし、現在は獣に心を染めてしまった擬神兵たちを掃討するため”獣狩り”を名乗りかつての部下である擬神兵を殺して回り、加えて擬神兵を野に放ちエレインを殺したケインを追うことを目的に旅をしている。
 ハンク自身も擬神兵であり、その姿は「ウェアウルフ」(狼人間)。 人と獣の姿を行き来でき、夜にだけ獣の真の力を発揮できる特性を持つ。

ナンシー・シャール・バンクロフト

 本作のもう一人の主人公。猟銃を巧みに操り、守るためには人を撃ち殺すことも厭わない強さを持っている。
 擬神兵となった父を持ち誇りに思っていたが、”白いコートのフードを被った男”に父が殺されてしまったことを知り、敵討ちを果たそうとする。しかし、男はかつて擬神兵部隊の隊長であったハンクだと知り、父がなぜ殺されなければならなかったのか知るためにハンクの擬神兵達を始末する旅に同行する。
 擬神兵を今でも英雄だと誇り、彼らの存在を終始肯定する立場にある。

ライザ・ルネキャッスル

 軍の情報局・戦後処理部。ハンクに擬神兵達の情報を渡すサポート係。ハンクの事を好いており、旅に同行しているシャールを邪魔者扱いする。

ケイン・マッドハウス

 かつてはハンクの友人であり擬神兵部隊の副隊長だった。名門貴族の生まれで擬神兵に自ら志願した。
 ハンクを殺す作戦をエレインと共謀するがハンクを仕留めた後、エレインを殺し、後は殺されるだけの運命を辿るはずだった擬神兵達を野に放った張本人。 次にハンクと再会したケインはシャールを誘拐し、明朝の夜会にハンクを招く。そこに集まった擬神兵の意思を煽り統一再び擬神兵達をまとめ上げ戦争の続きをしようと目論む。
 擬神兵の1人であり、その姿は血と夜を司る「ヴァンパイア」。血による自己再生で不死身。

 

擬神兵

 擬神兵とは、南北の内戦が長く続いた時代に劣勢であった北部の技術者・エレインが禁忌の技術を持って作り出した異形の兵士達のこと。その姿はドラゴンやミノタウルス、ヴァンパイア、ガーゴイルなど民話や伝説上の生物の姿で描かれている。
 人の形を失うのと引き換えに得た力で戦場に勝利を運んでいったが、戦争が終わった後の世界では擬神兵達の居場所はなくなり、そして人の心もいずれ失ってしまうとエレインは擬神兵に手をかけようとするがケインにより擬神兵達は野に放たれる。
 擬神兵になり、そして戦場での戦いで精神を歪めた擬神兵達は案の定その強力な力を持て余し、自らの正義を掲げ、人々の生活を苦しめていた。

 

この漫画の特徴

心無くした擬神兵は仲間(擬神兵)の手で葬る

 擬神兵となった父を殺した”白コートのフードを被った男”を追い続けていたシャールはある村の酒場でその男を発見し父の形見である象撃ち銃で射殺しようとする。しかし、男は死なず、しかもその正体は擬神兵部隊隊長のハンクだと知るシャール。ハンクにはある目的があり、それは心なくした擬神兵を仲間(ハンク)の手で葬ることであった。
 戦争を終わらせ国を救った英雄・擬神兵達は各々が掲げる歪んだ正義により人々の生活を脅かしていた。一見出稼ぎに出て村に貢献しているように思える擬神兵・スプリガンのダニーでも、得た物資は積み荷を乗せた馬車を襲い手に入れた物を村に提供していたり、擬神兵・ミノタウルスのセオドアはすでに戦争は終わっているにも関わらず新たなる敵との戦いに備えよと街を砦に変え続け、意を唱える街人は敵として殺害したり、彼らの考えや思いは戦争の日々と得た力で変わってしまっていた。
 自らも擬神兵であるハンクがかつての仲間をその手にかけ殺す旅をしていることを知ったシャールはハンクのその旅に同行し、父がなぜ殺されなければならなかったのか知るためにハンクの擬神兵達を始末する旅に同行する・・・。


出典:かつて神だった獣たちへ より


 

平和な世界に擬神兵の居場所はない・・・

 どうしてこの国に獣が放たれたのか。
 終戦間近のある日、ハンクはエレインに呼び出され、軍の司令部では極秘裏に停戦交渉を進めており南北に別れた国は再び一つに戻ろうとしていることを知らされる。やっと平和な時代がくると安堵するハンクだったが、戦争が終われば擬神兵の居場所はなくなるとエレインは言う。そして続けて、”擬神兵はいずれ心を失う、だからその前に部隊の皆の命を奪う、それが私の責任”だと言いエレインはハンクを撃った。
 エレインは擬神兵を作り出した技術者で擬神兵が何をもたらすかわかっていながらそれでも国を救うためにその技術を使った。だから、全ての擬神兵を殺すことで彼女なりに責任を取ろうとした❸のだった。
 しかし、ハンクを撃った後、部隊の命を奪いケインとエレイン2人が自害することがエレインの目的だったが、エレインはケインに裏切られ撃ち殺されてしまう。そして残ったケインは戦争後、擬神兵を野に放ったのだった。


出典:かつて神だった獣たちへ より


 

擬神兵を率いて戦争の続きを始めようとするケイン

 ハンクは小さな子供と擬神兵・アラクネを連れたケインと再会する。シャールを人質としたケインは明日の夜会へハンクに来るように言う。ケインはすでに死んているとされているため軍は動かせないと念を押すライザだったが、ハンクは夜会へ行くことに。
 夜会ではケインから招待された貴族と擬神兵が多数おり、ケインの指示で北部の貴族達が殺されていく。”止めさせろ、心無くした者は葬るべきだ”とエレインの意思を継ぎ吠えるハンクだったが、ケインは「擬神兵が血を流し、国を救ったというのに民衆が我々に石を投げる権利はない。心は失ったのではなく踏みにじられ歪められた」とハンクの声に反対。そして、多くの擬神兵と共に擬神兵達が生きやすい世界に国を変えるため戦争の続きを始めるとハンクに言い放つのだった。
 その後、ケインは擬神兵と戦後の待遇に意を唱えた軍人、南部貴族たち、そして貧困に不満を抱えた市民を巻き込み反乱勢力を束ね上げ、祖国パトリアからの独立を宣言。彼らは開拓の遅れていた西部を拠点に次々と近隣の地域を支配下に置いていき、大きな戦争に備え始めたのだった。


出典:かつて神だった獣たちへ より


 

評価・感想

 かつて神とまで呼ばれ戦争を北部の勝利に導いた怪物・擬神兵が、戦争後は歪んだ正義を持ち、ただの害をなす獣として扱われ主人公に始末されて行くという話。擬神兵達の迫力のあるバトルと元々人間だったという擬神兵の設定により人間味のある背景があるためバトルアクションに深みが出ており面白い。画力も高いのでアクション漫画としてはかなり高い評価。

 しかし、売りにしているダークファンタジー的視点から見ると評価は低い。というのもストーリーにお粗末な点が多く、描写に対して説明が足りないため、なぜ次のそのシーンになったのかわからなくなり疑問が残ったままになってしまうからだ。
 例えば、
❶シャールが父親を殺したハンクを殺そうとしたところまではわかるがそのハンクが擬神兵を殺す旅にシャールを同行させるというのがよくわからない。
❷心を無くした擬神兵は殺すべきだというが擬神兵は別に感情を失っているわけではない。(ケインの夜会で説明されているが後付け)
❸ケインの夜会で殺された人間は富裕層というだけで立場が不明。擬神兵が人間に対して仕返しする描写を描きたかっただけ?
 などなど、どうしても理解できない部分が多い。伏線としてあえて語らない場合もあるがそれとは違う疑問のためどうしても許容範囲外。題材と設定はとても良いのに疑問を取り払っていないせいで、自分の描きたい描写を作者が繋いでいるだけのような作りになっており少々残念な内容になってしまっています。
 ただ最初にも言った通りアクション漫画としてみればかなりレベルが高いのでストーリーがさほど気にならない人にはオススメ。(果たしてそのような方がいらっしゃるかわかりませんが・・・)

評価点:61点
しょーり

しょーり管理者 兼 ライター

投稿者プロフィール

ライターのしょーりです。

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