『響~小説家になる方法~』の評価・感想 信念を貫くかっこよすぎる天才に熱くなること間違いなし!!

響~小説家になる方法~とは?

  • 『響 〜小説家になる方法〜』は 柳本光晴による日本の漫画作品。『ビッグコミックスペリオール』(小学館)にて、2014年18号から連載されている。
     
  • 2017年、マンガ大賞2017大賞を受賞。
     
  • 2018年9月14日、『響 -HIBIKI-』のタイトルで実写映画が公開。
     

表紙画像・出典:https://www.ebookjapan.jp/ebj/311826/volume1/

あらすじ

 出版不況に苦しむ文芸業界。現状の厳しさを嘆く文芸雑誌「木蓮」編集部に、応募要項を一切無視した新人賞応募作が届く。破棄されるはずだったその作品・鮎喰響作「お伽の庭」に編集者・花井ふみが目をとめ、その作品・その作者に時代を作る可能性を見出すのだった。
 そんな「お伽の庭」を執筆した張本人・鮎喰響はちょっと変わった本好きの女子高生。自分の嘘偽りのない考えを優先し、信念を貫く彼女は時に周りは振り回す。彼女の入部した文芸部でもその性格は十二分に発揮されるが、ある日部内で部誌を作ろうと言う話になり、響も一つ短編の作品を提出するが部員は響の文学の才能に呆気を取られてしまう・・・。

気になったら試し読み!

 
響~小説家になる方法~ 1巻
柳本光晴 小学館
500円 (税別)
とある文芸編集部の新人賞宛に送りつけられた、直筆の投稿原稿。編集部員の花井は、応募条件を満たさず、ゴミ箱に捨てられていたその原稿を偶然見つける。封を開けると、これまで出会ったことのない革新的な内容の小説であった。作者の名は、鮎喰響。連絡先は書いていない…
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主な登場人物

鮎喰 響(あくい ひびき)

 本作の主人公。15歳の少女。読書好きで、月に二、三十冊の小説を読む。類い稀な文才と感性の持ち主だが、歯に衣着せぬ物言いや冗談の通じない性格、自分の考えたことを思いとどまることなく実行する行動から、周囲とは衝突しやすい。
 初対面で年上の人間であっても呼び捨てにしたり、突発的に暴力的な行動に出たりと響を知らない人間からは甚だ非常識な人間に映る。シャツは、途中から出して着ている。
 中学3年生の終わりに小説『お伽の庭』を執筆し、「木蓮」新人賞に応募。新人賞を受賞し、同作で史上初の芥川賞・直木賞の同時受賞をする。

祖父江 凛夏(そぶえ りか)

 文芸部部長。響にとっては文芸部の先輩であり親友。
 日本を代表する小説家、祖父江秋人の娘。フィンランド人の母とのハーフで、金髪で小麦色の肌だが、染めているわけではなく天然。一見軽そうな外見と言動だが、内面は非常に理知的で他人の思惑や空気を読むことに長ける。
 父親の影響で幼いころから小説家になることを目指しており、小説『四季降る塔』で作家デビューする。だが、父親を始めとした周囲の評価は「同世代ではすば抜けている」程度であり、新人賞を通過出来るのか分からないと評されている。

花井 ふみ(はない ふみ)

 「木蓮」編集部の編集者。25歳。
 文芸の時代の復活を志しており、ごみ箱に捨てられていた『お伽の庭』に自分の夢を託し奔走する。響の常識はずれの行動に振り回されながらも支え続け、その精力的な仕事振りと芥川賞・直木賞の受賞会見での行動から「若いが有能な編集者」と有名になる。

 

この漫画の特徴

変わった感性と性格を持つ響が小説界に革命を起こす!?

 高校生になったばかりの鮎喰響は本好きでバカなクラスメイトと馴れ合うことを嫌い、幼馴染である涼太郎の好意に頬を赤らめたりとクラスに1人はいそうな女子に思えるが、実はヤンキーの挑発に冗談が通じず「殺す」という言葉に反応しボールペンで目を刺そうとしたり、たとえ年上でも自分の考えに合わなければ抵抗し本棚を倒したり、入部を躊躇する生徒を自分の持つ感性や思いに従えと説き伏せ早急に入部させたりと変わり者の女子だった
 そんな自分に正直に生き、変わった感性を持つ響にはある才能があった。それは読んだ人の心を動かす小説を生み出すこと。中学3年生の終わりに小説『お伽の庭』を執筆し、「木蓮」新人賞に応募した響。募集要項も守れていないどころか、連絡先も住所もない状態だったがその作品を読んだ編集者・花井ふみは響の作品は文壇に革命を起こし、上の世代を引きずり降ろせるほどの力があると大絶賛なんとしてでも新人賞への候補にするためにテキストに起こすが、本人からの連絡がなく情報がないままだと選考を行えないと上司に忠告されてしまう。
 仮の作家情報を載せようとしたり、そのまま本にしてしまおうかと考える花井の元に編集部の事情を全く知らない張本人・響が電話をかけてきたのだが・・・。


出典:響~小説家になる方法~ より


 

響の才能に導かれて・・・

 ヤンキーの溜まり場から、通常の部へと引き戻したことで部としての活動を開始した文学部は部長の凛夏の一声により部員五人がぞれぞれ物語を執筆し部誌を作成する活動を行うことになる。執筆経験がある者がいたり、やる気の無い者がいたり、執筆自体が初の者もいたが部員全員時間の合間を縫って期日までに全員が執筆し終えた。
 ある日の昼休み、響は凛夏に呼ばれてお互いの作品の読み合いを行っていた。趣味で携帯小説を執筆し、親は有名な小説家、そして将来の夢も小説家の凛夏の作品は本好きの響に切り口が新しく、面白かったと言わしめた。一方、響の作品も面白いと凛夏は評価し、その場は笑顔で解散する。がしかし、響を帰した後、凛夏は自分とは圧倒的にかけ離れた響の別次元の才能に言葉を失うのだった・・・

 凛夏の父親は小説家であり、家は大豪邸当然編集者とも面識があり、ちょうど響達文学部員が遊びにきた日と編集者・花井ふみが訪ねてくる日が重なる。小説家・祖父江の椅子に座り雰囲気を愉しむ響は案の定、花井と出くわす。その時はお互いのことを応募者と編集者の立場であることは知らずに作家の部屋を荒らす女子高生と小うるさい大人の女としてただぶつかり合うだけに終わってしまうしかし、花井が文学部の部誌を凛夏から受け取り読み進めたことで鮎喰響という名前、作風、そして突出した感性と本人が見せた変わり者の様子から自分が衝突したメガネの女子が『お伽の庭』を執筆し、「木蓮」新人賞に応募した人物であると気づくのだった。
 響の情報を手にいれ、『お伽の庭』を選考に進ませたい花井は再び響への接触を計る。


出典:響~小説家になる方法~ より


 

上っ面の講評も、受賞式での体裁も無視で大暴れ

 響が執筆した『お伽の庭』は当然のごとく最終選考に残る。
 最終選考では世間的に有名な小説家達による選評であり、そこでも『お伽の庭』は大絶賛されるのだった。ところがある日、響が凛夏と共に花井に呼ばれて出版社を訪れていた時、凛夏の父親・祖父江を敵視する鬼島仁が娘である凛夏に嫌味と悪口を重ねひどい言葉を投げかけているのを聞いた響は鬼島の顔面に蹴りをぶちかます暴力沙汰はいけないと忠告を花井から受けたばかりで、しかも鬼島は有名作家でありそれを知っているにもかかわらず、響は何も恐れずに友を助けた。
 蹴りを入れられたその日の夜、鬼島は響の『お伽の庭』を読む。昼間のいざこざがあってもなお、人を変える力が響の作品にはあると響の作品を認めるのだった。

 響の『お伽の庭』は最終選考を当然のように突破し授賞式へと響は主役として出席することに。そこへ響と同じく受賞した年上の田中もいたが、田中は響と同じく自分の信念を通す男性ではあったがただ普通を嫌がり、他人を凡人扱いして、自分に自惚れているような性格で響とは似ても似つかない人物だった。
 公の場であるにもかかわらずネクタイをしていない田中に対して、小説家の先輩に買ってもらったゴスロリ衣装で登場した響。小説家陣から少々棘のある評価をもらう田中に対して、大絶賛が続き文豪達から握手を求められる響。自分と響を比較し自分が中途半端であることを知った田中は響を”話題性のため選ばれたのだ”と一言で片付け握手する時に響の手を強い力でに握りつけ、そしてガキの遊び場じゃないと言い放ってしまう。
 怒った響。その場は花井に止められて大事にはならなかったが、寧ろそこで発散させなかったせいで授賞式の真っ最中に響が暴れ出してしまうのだった


出典:響~小説家になる方法~ より


 

評価・感想

 人と群れるのを嫌い、冗談が通じず、普通の人間とはあらゆる部分で違った感性を持つ一見狂った思考の主人公が、実は小説界では業界に革新をもたらし、編集者や現役小説家たちを唸らせるほどの小説を書ける才能があり文芸部の先輩や編集者、小説家達を巻き込んでいくというお話。
 サブタイトルに「小説家になる方法」とあるが、小説での技法や良いストーリーの考え方など専門的な話題を取り上げた漫画ではないため注意。しかし、ある意味では主人公のような自分の意思や感性を尊重し豊かに創造することができる人が小説家になるのだと謳っているようにも感じ、サブタイトルに沿った内容になっていると言えばそうなのかもしれないが・・・。

 この漫画の面白い点はもちろんヒューマンドラマというジャンルにおいては珍しい無双系主人公が猛威を振るう瞬間!
 主人公のたとえ犯罪や事故を巻き起こし、自分を取り巻く事情がどう変わるのだとしても、自身に敵対する相手対して臆せず自分の意思を貫き通すエネルギッシュな部分が読んでいる読者を熱くさせること間違いなし。
 不良だろうと、部長だろうと、担当編集者だろうと、現役の小説家だろうと、同じ新人賞を受賞した同期の小説家だろうと立場や自分へのリスクなど無視して、理不尽な行為に対しては必ず制裁を加える。そして自分との考えがずれた時、相手の意見を聞くのではなく自分の意見を貫き通す・・・。昔忘れてしまった考えや思いを思い起こさせてくれるようなそんな場面が非常に面白く、そして非常にパワーをもらえる作品です。

評価点:100点
しょーり

しょーり管理者 兼 ライター

投稿者プロフィール

ライターのしょーりです。

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