『サイケまたしても』の評価・感想 こんなバトル見たことない!時間を巻き戻し勝機を探る超異色のバトルアクション漫画!

サイケまたしてもとは?

  • 『サイケまたしても』は、福地翼の日本の漫画作品。『週刊少年サンデー』(小学館)にて、2014年32号から連載中。
     
  • 集中連載のあとに休載期間を挟む不定期連載の形態を取っている。
     
  • 2016年、『ダ・ヴィンチ』とNiconicoによる「第2回 次にくるマンガ大賞」のコミックス部門にノミネートされ、7位にランクインした。
     
  • 2017年3月に『サンデーうぇぶり』でコミックス第8巻発売記念として「うえきの法則」とのコラボ漫画を掲載。
     

表紙画像・出典:https://www.ebookjapan.jp/ebj/279011/volume1/

あらすじ

 平凡な中学生葛代斎下は、何の夢も持たず、地味に目立たず控えめに毎日を過ごしていた。そんなある日、幼なじみの枸橘蜜柑に誘われて訪れたモグラ池からの帰り道に、蜜柑が交通事故で亡くなってしまう。
 幼馴染の死を悲しむサイケは、地面が崩れてモグラ池に転落。溺れて意識を失ったサイケだったが、再び目を覚ますと、なぜか蜜柑が亡くなる日の朝をもう一度迎えていた。蜜柑との会話でそれが自分の能力だと気付いたサイケは試行錯誤の末に蜜柑を救うことに成功し、『ヒーロー』として能力を人助けに使おうと決意する。
 その一方で、悪意を持った能力者同士の争いに、サイケは否応なく巻き込まれていく・・・。

気になったら試し読み!

 
サイケまたしても 1巻
福地翼 小学館
400円 (税別)
葛代斎下は、将来の夢も特別な能力もない、どこにでもいる、ごく普通の中学三年生。平凡で退屈な毎日を過ごすサイケだったが、ある日、幼なじみの蜜柑が事故で死んでしまう。絶望したサイケが池に飛び込むと、蜜柑が事故で死んだ“今日”が再び始まった。蜜柑を救うべく、問題の“今日”を繰り返すサイケだが…?あなたにはやり直したい一日はありますか?
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主な登場人物

葛代斎下(くずしろ サイケ)

 本作の主人公。中学3年生。自分の殻に籠って無気力に生きてきた結果、斜に構えた生き方をこじらせてしまった少年。
 ある日、幼馴染である枸橘蜜柑の交通事故死をきっかけに、自分が時間逆行の能力を持つ事を知る。その能力を使って蜜柑の救出に成功したことを契機に、能力を使った人助けを始め、更に氷頭と出遭った事で、子供の頃に夢見た「弱気を助け、悪を挫くヒーロー」になる事を決意する。
能力:時間逆行
「操作種(コントロール)」。正確に言えば『発動した日の午前7時に戻れる』能力。発動条件はモグラ池で溺れ死ぬ事とされている。

枸橘蜜柑(からたち みかん)

 美術部所属の中学3年生でサイケの幼なじみ。孤独な生き方から抜け出せなくなったサイケに変わらず接してくれる活発な少女で、自分は絵を描く事が好きだと公言して自分の進む道をしっかりと見据えて生きている。交通事故によって死んでしまうはずだったがサイケの能力により死をまぬがれた。
 サイケには子供の頃にモグラ池で溺れていた所を助けてもらった事があり、その頃からサイケに好意を持っている。サイケがヒーロー活動をしている事は知らないものの、何かしらの歪みを背負ってしまっている事には気付いている。

氷頭栄治(ひず えいじ)

 サイケとともに「ヒーロー」活動に勤しむ仲間。無表情と狛犬のような眉が印象的な、恵まれた体格の青年。無愛想な言動や強面の人相などで勘違いされがちだが、頑固なほどにスジはしっかり通すタイプ。名門の生まれだが既に勘当されており、今はアパートで一人暮らしをしながら、謎なアルバイトを多数こなして生活している。自分の中の常識を壊していくサイケに興味を持ち、共に行動する相棒となった。
能力:物体の発泡スチロール化
「変質種(チェンジ)」。発動条件は物体に触れる事。靴や衣服を通して触れても、発動は可能。重さや脆さを発泡スチロールに変えることで、電柱など本来は数百kgはあるような物も軽々と持ち運べるようになる。

 

ネガティブレイン


 黒田ユメヲ率いる能力者集団の組織。主な活動内容は、能力(オラクル)を悪用する者を探し出し、ボスであるユメヲの『能力消去』で能力(オラクル)を消し去ること。メンバーは十数名を数え、大型のヘリを所有しているなど資金力もある。『ネガティブレイン』は『ネガティブ』と『ブレイン』を合わせた『マイナス思考』の意味がある。

黒田ユメヲ

 『ネガティブレイン』のボス。超が付くネガティブ思考の持ち主。普段は、普通のサラリーマンとして働いている。『ネガティブレイン』のメンバーは彼が直に勧誘して引き入れた者たちで、仲間となった者には全面的な信頼を置く。
 妹のミユキが何者かの能力(オラクル)によって昏睡状態に陥ってしまったことで能力(オラクル)を嫌悪するようになり、ミユキを救う為もあって強硬に能力保持者を襲い続けていた。
能力:余地夢(よちむ)
「感知種(センス)」。発動条件は眠ってる時に夢を見る事。未来を夢として見る能力の為に自発的に使う事は出来ず、ネガティブな未来しか見えない。
能力:能力消去(オラクルデバッグ)
発動条件はユメヲが対象の頭に触れたうえで、対象が自ら能力を手放すと承認する事。ユメヲの持つもう一つの能力で、いわゆる能力者殺しの力。

 

この漫画の特徴

時間逆行の能力で幼馴染を救う!?

 夢も夢中になれる趣味もなく地味な生活を送る主人公・葛代斎下はある日、幼馴染・枸橘蜜柑に連れられモグラ池へとやってくるが、飲み物を買いに車道に出た蜜柑がトラックに轢かれて即死してしまう絵を描くことが好きで美術系に力を入れている栗山女子高にいくと夢を語り、また何もないサイケの背中を押してくれた蜜柑。
 蜜柑の死後、再びモグラ池へとやってきたサイケ。死ぬべきは夢も何もない自分の方だろうと泣いて蜜柑の死を悔いるが、池の縁にいたサイケは地盤が弱かったためか地面の崩れによって池へと落ちてしまうのだった。言い訳を作って他人と関わることを避けてきた無駄な日々と蜜柑を助けられなかったことに反省しながらサイケは池の底に沈んでいき、意識を失う。

 ところが次の瞬間、サイケは自分の部屋でいつものように目覚まし時計の音で目を覚ます。先の出来事は夢?そう思ったサイケはすぐさま蜜柑に電話をかける。すると蜜柑は何事もなかったかのように電話に出てはサイケの電話を鬱陶しがる。やっぱり夢だった・・・と結論づけるサイケだったが夢で見たクラスメイトの会話や出来事が次々に目の前で再生され、蜜柑の死もまた繰り返されてしまう。しかし、同時にモグラ池で溺れれば時間を戻せることを知ったサイケは何度もその日を繰り返し蜜柑を助けられるルートを探そうとする

 最初は自分が関わらないことで蜜柑の死を避けようとしていたサイケ。しかし、どうも自身がアクションを起こさない限り蜜柑の死は回避できないのかもしれないと思うようになり、サイケは蜜柑の代わりに自らがトラックに轢かれて死ぬことを決意する。


出典:サイケまたしても より


 

能力者同士のバトル! サイケの戦い方は・・・?

 蜜柑を助けた後、サイケは”時間逆行”の能力を十二分に発揮し町中の事件や事故を事前に回避させる、自称:ヒーローとしての日々を送るようになる。サイケの行動は周りにも確認されるようになり、サイケの変わりようには周囲も気づき始めていた。
 そんなある日、自分の価値を見出だし始めていたサイケの前に一人の能力者と名乗る男・氷頭栄治が現れサイケに襲いかかってきた能力を発現させる氷頭の存在と氷頭の言葉から、自分以外にも能力者がいたこと、そして能力者のほとんどが与えられた力を自分の欲のために悪用してきたという事実を知ったサイケは氷頭に能力者を知る方法を尋ねる。しかし、「これはゲームだ」と自分に勝たなければ教えられないと氷頭は言うのでサイケは氷頭と戦うことを決意し、モグラ池へと飛び込む。そして記憶をそのままに時を遡ったサイケは先の記憶を使って氷頭への反撃を開始する。

 時間逆行により氷頭と戦闘を繰り返し、経験値を蓄えながら勝利の糸口を探るサイケ氷頭の攻撃&行動パターンを蓄積して行くうちに氷頭の能力が物体の発泡スチロール化であることを見抜いていったり、攻撃をかわし次の攻撃を入れるタイミングを見つけたりと少しずつだがサイケは氷頭とのバトルに勝機を見出して行く。
 そして、脳震盪を狙い顎にクリーンヒットする瞬間を狙ってコンティニューを繰り返し、ついにサイケは氷頭を倒すのだった。


出典:サイケまたしても より


 

強敵・黒田ユメヲ

 時間逆行の能力を使って、ヒーローとして人々を助け、能力を悪用する能力者も氷頭の力を借りながら打ち倒して行くサイケ。
 能力者の戦いの中でサイケは協力者である氷頭の存在を大きく感じ、氷頭もまたサイケの生き方を面白いと思うようになり、二人は仲間としての絆を深めていく。ところが、二人が能力者狩りの矢面に立ってしまったことで能力者狩りチーム”ネガティブブレイン”のリーダー・黒田ユメヲに目をつけられ、サイケの能力”時間逆行”を危険視されてしまう。
 後日、サイケと氷頭は人を無差別に襲っていた能力者が能力を消され病院へと運ばれて行く様子を目の当たりにする。人を救うことが生きがいになり能力に依存し始めていたサイケは能力を消す能力が存在していることに警鐘を鳴らすも、同じく病院を訪れていた”ネガティブブレイン”に二人は攻撃を仕掛けられ、サイケは体を縄で縛られユメヲの前に差し出される。ネガティブな予知夢を見ることができる能力、そして能力者の能力を消すことだできる能力の二つの能力を持ったユメヲはサイケが良い行いをしてきたことを知りつつも時間逆行は”他者から失敗し学ぶ権利を奪う”一面もあり、それはただのヒーローごっこにすぎないとサイケの能力を消しにかかるが・・・


出典:サイケまたしても より


  

評価・感想

 この漫画はある偶然をきっかけに時間を巻き戻せる能力が自分に備わっていたことに気づき、その力を人を救うために使いヒーローになろうとする主人公が同じく特異な能力を持ち自分の私利私欲のために能力を使う能力者との戦いに巻き込まれていくという能力バトルアクション漫画。
 時間逆行という時間を巻き戻せるというパワーや迫力こそない能力だが、時間を巻き戻し経験と攻略法を蓄積し確実に勝利を得ることが醍醐味であり、一風変わったバトル漫画となっている。時間逆行を演出するのにかなりのページ数を要し一回のバトルでほぼ一巻分になることもある、ただ、相手の能力を探り、有効に自分の攻撃を当てていく部分は他のバトル漫画と同じであり、長いページ数である一方でバトルはダラダラせず、かつ一戦一戦に深みが加わりかなり面白い。また演出としてすでに何度も時間逆行をした状態から始まる描写もあり、その場合は主人公の掲げるヒーローそのものなので爽快感が半端ではない。

 個人的に感じたこの漫画の面白い点としては、主人公のキャラ!
 主人公は最初他人に関わらず自分の好きなことを信じ突き進むキャラに見せておいてからの、実はその行動は自分が周りと関わることが怖かったり、苦手だったりする部分の言い訳だったと告白するのだがその点は主人公に非常に共感でき、主人公のキャラが一気に魅力的に思えてくる。また、交通事故で死んでしまう幼馴染を救うためには自分が動かなければ何も変わらないし助けられないことを知り、元々の考えから一転。主人公が成長していく様子は自己投影をしていればしているほど感動的にうつるはず。
 前作でヒットした植木の法則に足りなかった主人公への共感の薄さ(=無愛想、何を考えているかわからない、地球人じゃない)が本作で改善されていると感じました。

評価点:91点
しょーり

しょーり管理者 兼 ライター

投稿者プロフィール

ライターのしょーりです。

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