『湯神くんには友達がいない』の評価・感想 ぼっちをこそ至高!新感覚お一人様コメディー!

湯神くんには友達がいないとは?

  • 『湯神くんには友達がいない』は、『週刊少年サンデーS』(小学館)にて、2012年7月号から2013年11月号まで17話分連載した後、『週刊少年サンデー』(同社)に移籍し、2013年48号より月1で連載中。
     
  • 元々、どうしても彼女ができない少年の話として構想されたが、当時の担当編集者・坪内崇との打ち合わせの際に「別に彼女がいなくても楽しく生きていける」ということに作者が気付き、友達ができない高校生の話へと変更された。また、当初は全5回(コミックス1巻分)での連載を予定されていたが、徐々に読者の支持を集めたこともあり連載が継続されたという。
     
  • 2015年2月18日、ドラマCD付き特別版の単行本が発売された。
     

表紙画像・出典:https://www.ebookjapan.jp/ebj/219008/volume1/

あらすじ

 上星市にある上星高校に転校して来た綿貫ちひろは、独りを好む変わり者の湯神裕二と出会う。
 湯神は野球部のエースというスペックを持ち合わせているものの、偏屈で凝り性な性格のためクラスでは浮いた存在であり、好きな落語のことに思いふけったり、自己研磨に務めたりと、ぼっち生活を満喫している。
 一方、ちひろは内気な性格のため、友達を作ろうにも中々クラスに溶け込めずにいた。そんな中、湯神のマイペースな性格に振り回されるも、湯神のことで頭を悩ませているという野球部の門田春樹や久住若奈、湯神に恋心を抱いているという藤沢梨緒らと出会い、徐々に新しい生活へと馴染んでいく・・・。

気になったら試し読み!

 
湯神くんには友達がいない 1巻
佐倉準 小学館
420円 (税別)
転校生・綿貫ちひろの隣の席の湯神くんは、ちょっと…というか、すごく変わってます。野球部のエースでありながら、野球部に溶け込んでないし、クラスでもなんとな~く浮いた存在…そんな湯神くんは、いつだって一人を満喫しています。新感覚お一人様コメディー開幕です!!
ebookjapan BookLive! 楽天

主な登場人物

湯神 裕二(ゆがみ ゆうじ)

 本作の主人公。友達を必要とせず、いつも一人を楽しんでいる偏屈な少年。
 野球部のエースで学業も成績優秀だが、マイペースで理屈っぽい性格と歯に衣着せぬ物言いのため、当人に悪気はないものの、クラスメイトや野球部の仲間にはやっかいな奴だと思われている。
 努力家で常に自己研鑚に余念がなく、私生活の細部に至るまで入念に計画を立てて行動している。疑り深い割に根が明るく、ポジティブで突っ走り易い。落語家・燦々亭平楽の大ファンで、ひとたび落語の話題になると相手が誰であろうと夢中になって一方的に話し続ける

綿貫 ちひろ(わたぬき ちひろ)

 本作のヒロイン。物語冒頭で湯神のクラスにやってきた転校生。
 転勤の多い家庭に育ったため、長く腰を落ち着けられるこの地に早く友達が欲しいと願っていた。優しく善良な女子だが、内気で要領が悪いため、日常生活は大抵上手くいっていない。
 転入以来およそろくな目にあっておらず、友人関係の悩みも尽きないが、湯神曰く主体性がなく流され易い性格で、大抵のことは受け流して暮らしている。湯神が困っていれば助け船を出し、逆に湯神に助けられることもある。

門田 春樹(かどた はるき)

 上星高校野球部所属で、湯神とは少年野球時代からの付き合い。
 チームの誰もが湯神とバッテリーを組みたがらなかったため、白羽の矢が当たり、彼専用のキャッチャーとしてレギュラー入りしている。そのため湯神に対して頭が上がらずフォロー役を務めているが、その自由奔放ぶりに振り回されている苦労人。努力を厭わない湯神の野球に対する姿勢に多少尊敬の念はあるものの、迷惑を掛けられてばかりなので先輩としては全く敬っていない。湯神曰く「気がつくけど気は利かない」。

久住 若奈(くずみ わかな)

 湯神のクラスメイトで、上星高校野球部のマネージャー。
 世話焼きかつ気短な性格で、頼りない部員のため率先して仕事を見つけては日々奮闘している。1年のころは先輩と湯神の仲介をしていたが、偏屈で凝り性な彼とは口論が絶えず、面倒くさいと思っている。また、クラスで浮きがちな転校生のちひろのこともよく気に掛けており、自分のお弁当を食べるグループに誘い入れている。

藤沢 梨緒 (ふじさわ りお)

 上星高校放送部所属。1年生当時の体育祭準備で助けられた出来事を美化して湯神に恋をし、ラブレターを送ったものの、彼の性格を把握しておらず、ちひろや門田を巻き込む騒動に発展した。
 律儀で優しい美人だが、その反面、物事に真面目に取り組み過ぎる気難しい面もあり、時には周囲を引かせてしまうほどの剣幕を見せる。ちひろを誘い、同じホームセンターのビビホームでアルバイトをしている。交流を通して、彼女とは下の名前で呼び合い、自宅へ招き入れる間柄になっている。

 

この漫画の特徴

親切なような そうでもないような・・・

 転校してきたばかりで、自転車を停める場所が無く苦労する綿貫ちひろ。そこへ後から自転車小屋にやってきた湯神裕二にルール違反の自転車を引き出して自転車を停めなければ、自転車を停められないという現状を教えられなんとか自転車を停めることができる。
 湯神を親切な人と思いながら、いざ教室へ向かうとなんと湯神と同じクラスで隣の席になる。運命的なものを感じるちひろだったが、湯神の反応は微妙で、ちひろが隣の席になるのを嫌がり女子はUVが気になるだろうなどと口にして廊下側に席を移動させることを勧めてきた。

 先生の言われた通り、湯神の隣に座るちひろだったが授業中その席は湯神が窓を開けっ放しで寒い。「窓を閉めてほしい」とちひろは湯神に頼むが、湯神は即答で「嫌だ」と頼みを断ってきた。”親切なようなそうでもないような・・・よく分からない人だ”とちひろは思う


出典:湯神くんには友達がいない より


 

湯神くんに友達がいない理由

 スポーツでは野球部のエースを務めるほど運動ができて、勉強もできる湯神。クラスの人気者になり、友達が多く作れるはずなのに湯神はクラスメイトの女子からボロカスに罵られている。

 湯神に友達がいない理由⑴。偏屈で考えが面倒くさい。
 ちひろはすでに湯神の変な部分の鱗片を感じてはいたが、ある時、初春の外の空気が寒い時期に窓を全開にする湯神に寒いから窓を閉めてほしいと頼んだ時に、湯神は「自分も寒いとは思っている。しかし、クラス全員が吸って吐いた毒ガス(二酸化炭素)が教室に充満してしまうだから寒くても毒ガスを吸うよりマシだから開けている」と口にする。ちひろは面倒くさいのでなるべくなら、みんなが言うように関わらない方が良さそうだと思うようになる。

 湯神に友達がいない理由⑵。ひとりの時間を満喫している。
 毎日昼食をひとりで済ませている湯神。しかし、ちひろが転校してきてからというもののちひろには友達ができずしばらくの間湯神の隣で仕方なく食事することになるのだが、湯神はというと「別の場所で食べたら?」「一緒に食べてるみたいに思われる」「一緒にご飯食べようも言えないのか?」とちひろを邪険にする。ちひろはそれに言い返すように湯神に一緒に食べる相手はいないんですか?と嫌味たっぷりに言い返すが、湯神は徒党を組んで飯を食べなくてはいけない理由がわからない、ひとりの方が居心地がいいと思っており、終いには”1人じゃ何もできないあなた達とは違う”とちひろだけでなく周りの人間全員をバカにするのだった

 湯神に友達がいない理由⑶。過去の友人?を忘れる。
 野球部の練習試合で天城高校野球部と対戦することになった上星野球部。完璧な投球を見せるエースでピッチャーの湯神は天城高校野球部のピッチャー林山に目をつけられる。林山は湯神との勝負に燃え、かつて少年野球時代に自分が風邪で寝込んでいる間にピッチャーのポジションを奪われた取られたという因縁を果たそうとするが湯神はちひろとの会話の中であんなやつ(林山)のことは知らないとはっきり口にしてしまう。
 林山のことを忘れていた湯神は悪びれることは無く、過去の人間関係に脳の容量を使うつもりはない!と独自の価値観を口にするのだった


出典:湯神くんには友達がいない より


 

湯神くんのポリシー

 ラブレターをもらった湯神。
 ラブレターの送り主は湯神やちひろとは別のクラスの藤沢梨緒という女子生徒で、彼女が体育祭に向けてバックボードを作っていた際に友人ともめて1人で製作していたところに湯神が現れ、手伝ってくれた時から藤沢は湯神のことがずっと気になっていたという。
 藤沢はちひろ、湯神の後輩の門田、野球部マネージャーの久住の影ながら力を借りながらなんとか湯神とデートするところまではこぎつける。しかし、日々の日常を自分で決めたスケジュールで行動する湯神にとって藤沢との時間は予定通り行かず、湯神は機嫌がどんどん悪くなり、最後にはちひろ、久住、門田三人の存在を明かして藤沢を傷つける結果で終わる。
 しかし、湯神への愚痴などを介しちひろは藤沢と友達の関係になることができた。

 野球の試合に挑む湯神。
 湯神は打たせて取る戦い方をせず、全部三振を取ろうと体力を削る戦い方をする。キャッチャーでバッテリーを組む門田は野球は1人でするものじゃない、チームのみんなを信頼してくださいと湯神に言い放つ。しかし、湯神は下手な先輩が球を取れるとは思えない、そして根拠もなく信じることはできない、自分はそういう人種じゃないとその後も続けて1人で戦うように球を投げ続ける、ところが・・・。


出典:湯神くんには友達がいない より


 

評価・感想

 本作は友達がいない主人公・湯神裕二の学校生活を描いている。湯神視点から見れば一風変わった主人公の生活を描いたヒューマンドラマとなり、客観的にみた時には偏屈で意固地な考えで周囲を困らせてしまうというコメディーになったりとどの視点で本作を見るかによってまったく別のジャンルになる極めて稀有で非常に面白い漫画
 題名の”友達がいない”というキーワードから友達がいない=コミュ障、いじめられっ子系を想像する人も多いと思うが、友達のいない主人公・湯神は自分の考えや行動を優先し、そして一切譲らない強気な生き方であるため、周囲にいつのまにか苛立たれ、関わり合いを持ちたくないと思われ、結果として友達がいないという同じ”友達がいない”でもまったく想像するものと異なる場合があるため手に取る際は注意。

 本作の面白い点は主人公・湯神が大衆化して多数派の意見に流されることが増えた社会を皮肉り、嫌われてもなお自分を貫き通す姿が案外かっこよく、周囲の考えやアドバイスを惜しむことなく毎度吹っ飛ばす行動が非常に面白い。
 また、友達が欲しくても転校生ということと転勤族だったという経験から友達の作り方が下手くそになり友達のできないヒロイン、そして勉強もそれなりにでき、野球部エースと人気者になる要素を持っているにも関わらず友達を作らない湯神の二人の対比から互いが持つ処世術をアドバイスする場面もあったりして意外にも考えさせられる内容もある。
 ヒロインには転校後、日々を重ねることで友達ができてくるのだが、その友達が全て湯神のアドバイスではなく、湯神に互いに困らされた上で作られた縁だったりして湯神のおかげではなく湯神のせいでできた友達というのも作品全体で主人公を皮肉る展開も面白く感じた。

評価点:85点
しょーり

しょーり管理者 兼 ライター

投稿者プロフィール

ライターのしょーりです。

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

  1. 徒然チルドレンとは? [su_list] 『徒然チルドレン』(つれづれチルドレン)は、若林稔…
  2. 君に届けとは? [su_list] 『君に届け』(きみにとどけ)は、椎名軽穂による日本の漫画…
  3. 神のみぞ知るセカイとは? [su_list] 『神のみぞ知るセカイ』(かみのみぞしるセカイ、…
  4. 焼きたて!!ジャぱんとは? ・『焼きたて!! ジャぱん』(やきたてジャぱん)は、橋口たかしによ…
  5. 間違った子を魔法少女にしてしまったとは? [su_list] 2016年10月14日より、W…
  6. 俺物語!!とは? 『俺物語!!』(おれものがたり)は、原作・河原和音、作画・アルコによる日本…
  7. たいようのいえとは? [su_list] 『たいようのいえ』は、タアモによる日本の少女漫画作…
  8. 『君のいる町』とは? ・『君のいる町』は、瀬尾公治による日本の漫画作品。『週刊少年マガジン』(…
  9. 我妻さんは俺のヨメとは? [su_list] 『我妻さんは俺のヨメ』(わがつまさんはおれのヨ…
  10. 高台家の人々とは? [su_list] 『高台家の人々』(こうだいけのひとびと)は、森本梢子…

スポンサーリンク




ピックアップ記事

  1. カラダ探しとは? [su_list] 小説投稿サイト『E★エブリスタ』(現・エブリスタ)にて…
  2. 銀魂(ぎんたま)とは?  『銀魂』(ぎんたま)は、空知英秋による日本の漫画作品。『週刊少年ジャ…
  3. アイアムアヒーローとは? [su_list] 『アイアムアヒーロー』は、花沢健吾による日本の…
  4. ウロボロス―警察ヲ裁クハ我ニアリ―とは? [su_list] 『週刊コミックバンチ』(新潮社…
  5. ぼくたちは勉強ができないとは? [su_list] 『ぼくたちは勉強ができない』は、筒井大志…
  6. 僕らはみんな河合荘とは? ・『僕らはみんな河合荘』(ぼくらはみんなかわいそう)は、宮原るりによ…
  7. この音とまれ!とは? [su_list] 『この音とまれ!』(このおととまれ)は、アミューに…
  8. 古見さんは、コミュ症です。とは? [su_list] 『古見さんは、コミュ症です。』(こみさ…
  9. 聲の形(こえのかたち)とは? ・『聲の形』は、大今良時による日本の漫画。最初の作品が45Pで『…
  10. DEATHNOTE~デスノート~とは?  『DEATH NOTE』(デスノート)は、原作 - …

次に見るべき記事

  1. 2018-2-12

    『予告犯』の評価・感想 負け犬底辺人間たちの反乱劇!!

    予告犯とは? [su_list] 『予告犯』(よこくはん)は、筒井哲也による日本の漫画である…
ページ上部へ戻る